クリエイターが考える、withコロナ時代の交通・OOH — Vol.8 八木義博氏

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メトロアドエージェンシーと宣伝会議が企画・運営する「第4回Metro Ad Creative Award」の作品募集が10月12日に開始しました。2020年のコラムテーマは「withコロナ時代にクリエイターが考える 交通・OOHに贈る期待」。外出が制限され、人々の行動が大きく変化している今、どのようなコミュニケーションが求められているのでしょうか。
本リレーコラムには、「Metro Ad Creative Award」の審査員らが登場。交通・OOH広告を広く、街の魅力を創造するメディアとして捉え、最前線で活躍するクリエイターたちが自身を刺激する都市におけるクリエイティブについて語ります。
最終回となる第8回は審査員の八木義博氏が担当します。

京都に行くなら、2月!?

外国人観光客でいっぱいの京都では、せっかく手入れされたお寺の庭が見えません。でも、紅葉も桜もない2月の一番寒い時期なら人も少ない。庭の隅々まで楽しんだ後、湯豆腐を食べて帰るのがよろしい。と、あるお寺の住職さんに教えてもらいました。しかし、今年はずっと外国人観光客の姿はなく、京都の名所でも全く人がいないという体験をした人もいたそうで、認識を新たにさせられました。ただ、公共空間において人も景色の一部であり、旅行の楽しさや安心感につながっています。人のいない京都は随分と寂しく異様だったことでしょう。

メディアに責任はない?

公共空間のメディアである交通広告もまた、人の行動様式が影響してその効果やメディアの意味が変化すると考えられます。例えば、中吊り広告は見ている時間が長いとされてきたため、文章量のあるものが多く出稿されてきました。

しかし今、みんなが車内で見ているものはスマホばかりで上を見上げている人は少ない。そうなると広告はパッと見で伝わるポスター的な力が求められます。印刷メディアが古くなったと言われがちですが、大事なことは時代の変化に合わせてメディアに対する認識をリセットすることだと思います。

身体性に訴える交通広告。

リモート会議で、さっと集まって必要なことを会話できる。とても便利になりました。しかし、今リアルに人と会って打ち合わせすると、なんでもない言葉や、息づかい、何気ない仕草など、ライブな空気感の中で、実に多くの情報を得ていることに驚き、人はカラダ全体でコミュニケーションする生き物なんだと思い知りました。

人が広告を見る時も、個人的なスマホの小さい画面で見る広告と、公共的な街の大きなビルボードを見るのとでは同じ表現でも身体的には質の違うものを受けとっているのではないでしょうか?人はこれから何に渇望感を覚えるのか、これからの交通広告のヒントがここにあるように感じます。

人はいつの時代にも、美しさを見出せる。

かく言う僕も今年の秋、京都の妙満寺で開催されていたフォトグラファーの瀧本幹也さんの個展に行ってきました。運よくご本人にお会いして、お寺の庭を眺めながら話していたら、庭の池に人が集まってきて、「あれ?あそこにあんな池はなかったのにな」と瀧本さんがポツリ。そういえばその前日、京都は台風に見舞われたのでした。その大雨で偶然に出来上がった、美しい池をここにいるみんながこの瞬間に愛でていたのです。

今年一つのインパクトを全人類が共有することになりましたが、よく目を凝らしてみると、そんな中にも美しい変化の兆しを見つけることができるかもしれない。そう思わせてくれる雨上がりの出来事でした。

第4回「Metro Ad Creative Award」(応募締め切りは2021年1月15日13時)の詳細はこちらから。

八木義博氏 
電通 クリエーティブディレクター/アートディレクター

「デザインとは、本来あるべき姿に戻すこと。」そのものの本質から構築されるノンバーバルなコミュニケーション力で、企業ブランディングや広告キャンペーンなど、幅広いクリエーティブを展開。主な仕事に、JR東日本「行くぜ、東北。」、HONDA「Human! FIT」、江崎グリコ「Pocky THE GIFT」。受賞にCannes Design Lionsグランプリ、One Show Best in Design、D&AD Yellow Pencil×6、ACCグランプリなど。
東京アートディレクターズクラブ会員、京都芸術大学 客員教授。

 

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