こういう時にもユーモアを忘れないことが大事なんじゃないか
大石:僕は毎年担当している福井県の塾「今西数英教室」のCM制作時、コロナでロケに行けなくなってしまいました。そこで撮影なしで、10年分のCM本編に使わなかった素材を90秒でつなぐことに。放課後、駅から塾まで歩く道のりの情景を歌詞にこめた歌をのせ、「九頭龍の橋」「高志高校」など福井にしかない名前をたくさん入れて、その歌詞と絵で「当たり前と思っていた教室、みんなで授業をできていたことの、かけがえのなさ」を伝えるCMにしました。
鈴木:僕は最近、自分の健康をリスクから守るサントリーの健康茶の統合キャンペーン「自分防衛団」のCMをつくりました。健康を応援するお茶がこのタイミングでどうメッセージを発するかというときに、皆の心に健康に対する意識が根づいた今の瞬間をチャンスととらえて、メッセージしてみようという話になって。今はリモートでルーティーンがなくなって、業界全体で飲料の売上が落ちる傾向もあるようですが、このCMのメッセージが共感されたのか、CMで取り上げた5品の売上は全部伸びたそうです。メッセージできちんと売上が変わるんだな、という気づきがありましたね。
吉兼:僕は地元の山口県に2カ月半ぐらい帰って、ほぼ毎日、子どもと海に行って、カニを獲ったりする生活をしていました。少し前から人間関係のデジタル化が加速していることになんだか気持ち悪くなっていて、温かみのあるものが必要とされてほしいなと思っていて。2019年に、落合陽一さんが、今のデジタル世代は重さや湿度、高い解像度のものに憧れをもっているということをテーマにした「質量への憧憬」という写真展をされていたのですが、とても共感しました。僕らもアナログの世界にあった違和感、温もり、美しさ、手触りみたいなものをCMに取り入れていくべきなんじゃないかなと感じています。
福里:ひとりでクリエイターっぽいことを言いますね(笑)。私はサントリーの「BOSS」で「宇宙人ジョーンズ・宇宙人からのアドバイス」篇を撮影は一切やめて、過去の映像の編集だけでつくりました。宇宙人が新しい生活様式についてアドバイスするというものなんですが、やっぱりこういう時にもユーモアを忘れないことが大事なんじゃないかと思いながらつくっていた記憶があります。
大石:最後のジョーンズのナレーションの「もし缶コーヒーが飲みたくなったら、さっと買って、さっと出る。」の一歩ひいた押しつけない感じがとても素敵で、福里さんらしいと思いました。
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