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【CES2021】「信頼」が企業の生き残りを左右する Google・Twitter・Amazonディスカッション(玉井博久)

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最新のテクノロジートレンドに触れることができる、世界最大規模のテクノロジーカンファレンス「CES」。今年は日本時間1月11日の午後9時に、完全オンラインでスタートしました。本稿では、江崎グリコの玉井博久氏が速報で注目ポイントをレポートします。

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プライバシー問題にどう取り組んでいくか

AppleはCES2021の開催初日に動画を複数公開しましたが、その内の2つはプライバシーに関する内容のものでした。FaceIDのデータも、アップルペイの情報も、すべてアイフォン端末の中に納まっていて、その情報がその端末から出ていくことはない、という内容のものです。同社2019年にも同様の告知を行っています。CESのメイン会場近くに看板広告を掲出して「アイフォンのデータはアイフォン端末に留まる」というメッセージを発していました。

2020年ほどテクノロジーがいかに大切かを実感した1年はないのではないか、とAmazonのプライバシーの責任者アン・トス氏は言います。人々はこれまで以上にテクノロジーに依存するようになっています。その一方で、よりナーバスにもなっています。多くの人がオンラインシフトする中で、オンラインワールドにおいても安全に過ごせることができるように、そして安全だけでなく生産的でもいられるようにすることがテックジャイアントに求められています。

プライバシー問題にどう取り組んでいくかというテーマは非常に重要で、今回Google、Twitter、そしてAmazonから各々のプライバシーの責任者が集まり、パネルディスカッションが行われました。

Google、Twitter、Amazonからプライバシーの責任者が集まった。

話はヨーロッパで施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)に。3社とも、このデータ保護の流れは世界的に加速するだろうと考えていました。施行から2年半しか経っていないものの、人々の意識が一気に高まりました。一方でグローバルカンパニーの彼らは、課題も抱えています。

今はコロナパンデミックで物理的な移動は難しいですが、人々が国を超えて移動した時、例えば日本から米国のカリフォルニアに移動するような際、オンライン(ブラウザやアプリ)での体験が国によってバラバラになるのは避けたいものです。パネルディスカッションでは、「そのためには国を超えたデータのポータビリティが必要であり、この点が各国のデータ保護法にどう影響していくかは気に留めておかないといけない。つまり、プライバシーとユーザビリティのバランスが肝になってくる」という意見が出ました。どうデータを収集し、どうデータを保管し、どうデータを使用するのかということについて何度も理解を求める活動が今後必要になるといいます。

また、利用者の観点から考えると、利用者がデータを自分でコントロールできることがポイントのひとつになる可能性がある、という話も。例えばアレクサのユーザなら、「アレクサ、私が今まで発言したことをすべて削除して」というような発言ができ、それに対応するようなサービスをアマゾンが提供することも必要になってくるだろう、とも述べられました。

信頼がなければテクノロジーは進歩しない

マスターカードのCEOマイケル・ミーバック氏は、キーノートで「全世界がオンラインにシフトして、しっかり適応することができた。緊急で重要なニーズに対応できた」話しました。さらに、オンラインの新ユーザたちはオンラインが簡単で使いやすいことを知った、とも述べた。しかし、「自分たちが提供したデータはどのくらい安全に取り扱われているのかは気になっている」といいます。

キーノートで、人々のオンラインシフトにより信頼が重要なポイントになると話すマスターカードのCEO。

現在はデジタルワールドの信頼が求められている。信頼できるネットワーク、デジタルID周りのソリューション、データのセキュリティなどはまだまだ高いレベルで議論すらできていない。この宿題に取り組むことでデジタルワールドへの移行がより進むだろう、としています。

どれだけ5Gが浸透しても、知らない人同士が売買をする際に、取引相手はどんな人なのか、相手のIDを特定する術はあるのか、といった点は抑えるべきポイントだ。マイケル氏も「信頼がなければテクノロジーは進歩しない」と話します。

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