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熱狂リスナーが潜入取材!! TOKYO FM「マスメディアン 妄想の泉」制作の舞台裏

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情報、メディア、コミュニケーション、ジャーナリズムについて学びたい人たちのために、おもに学部レベルの教育を2年間にわたって行う教育組織である、東京大学大学院情報学環教育部。月刊『宣伝会議』編集長の谷口が同部で講義を担当していることから、受講生の皆さんと編集コンテンツの企画から制作までを実地でチャレンジ。今回はTOKYO FM「マスメディアン 妄想の泉」を毎週聴いているというファンリスナーの中尾聖河さん(教育部1年)が、番組制作の舞台裏を取材しました。
※「妄想の泉」のコンテンツは、「アドタイ」で連載中です。

■「マスメディアン 妄想の泉」制作に関わる3人に話を聞きました!

番組ディレクター
千葉誠人さん

 

マスメディアン
小林健太郎さん

 

放送作家
剣持陽平さん

 

皆さんは普段、ラジオは聴きますか?最近は「radiko」など、スマホを介して気軽に聴取できるスタイルも浸透したので、ラジオ局のコンテンツに触れる機会は増えているのではないでしょうか。さらにコロナ禍においては、外出自粛によって生活環境が変化したことで、ラジオリスナーが緩やかに増えているといった傾向もあるそうです。

私は、高校時代オーディオプレーヤーを購入したことをきっかけにラジオにはまり、就寝前や移動中など、よくラジオを聴いています。そんな私の最近のお気に入りが「マスメディアン 妄想の泉」(TOKYO FM)です。今回は、私が毎週聞いているラジオ番組の裏側を覗いてみたい!ということで、同番組の放送作家である剣持陽平さん、番組ディレクターの千葉誠人さん、そして番組のスポンサー企業であるマスメディアンの小林健太郎さんに取材しました。

TOKYOFMで毎週土曜日24時半から25時に放送されている「マスメディアン 妄想の泉」は、起業家のハヤカワ五味さんがパーソナリティを務め、さまざまなフィールドで活躍する起業家やクリエイター、アーティストなど「妄想の達人」たちをゲストに迎え、未来を面白くするヒントを“妄想しながら”探っていく番組です。この番組の制作にかかわる方たちがどのような狙いをもって、制作にあたっているのでしょうか。
(本文中・敬称略)

中尾:「妄想の泉」は、マーケティング・クリエイティブ職種専門の人材紹介企業であるマスメディアンがスポンサーになっています。「妄想」というテーマはどのように決めたのでしょうか。

小林:「妄想」という言葉は、以前は決して良い意味では使われていなかったように思いますが、ここ数年でポジティブな言葉に変化してきたと感じています。その流れにまず注目しました。そして、「妄想」がすべての原点でもあると気づきました。妄想が起点で、サービスが立ち上がり、マーケティングやクリエイティブの力で成長していく。我々マスメディアンは、マーケターやデザイナーなどのキャリア支援を行っています。だからこそすべての源流となる「妄想」をテーマにしようと思ったのです。

中尾:「マスメディアン 妄想の泉」のようなトーク番組は、ゲストの人選が大切だと思うのですが、どのように選ばれているのですか。

千葉:ゲスト選定に際しては、事前のリサーチをかなり綿密に行っています。普段、どんな発信をしているかをよく見ているので、日頃からSNSなどを通じて、自分の考えを発信している方だとお声がけしやすいですね。

剣持:実はパーソナリティであるハヤカワさんの存在を知ったのもSNSでした。直接にお会いしたことはなかったのですが、SNS上のポートフォリオを見て、積極的に自分のことを発信しているし、あらゆる物事に対して自分としての考えをコメントできそうな方だと思い、相談しました。

中尾:スポンサー企業としては、ゲストやテーマの選定について、どのような考えを持っているのでしょうか。

小林:原体験があって、その原体験から新しい世界を「妄想」をして、新たなプロダクトやサービスをつくっている方をゲストにお迎えするというのが、番組のコンセプトです。ゲスト選定に際しては、何よりもまず、この番組のコンセプトに合った方であることを重視しています。理想は、ご自身が立ち上げられたビジネスの根幹がしっかりとあり、なおかつさらなる成長を目指し、コミュニケーションやクリエイティブ領域を重視する起業家の方。もっと自社のサービスを知ってほしいというフェーズにある方は、コミュニケーションについてもご自身の考えをお持ちだからです。

中尾:ゲストやゲストが関わるビジネスの魅力を伝えるためにどのようなことを意識されていますか。

千葉:制作しているメンバーだけで盛り上がり、リスナーを置いてきぼりにしないようにということは常に意識しています。リスナーと同じ目線に立って、どういう風に質問すればゲストや商品のことがわかってもらえるか、質問内容を考えていますね。

中尾:ハヤカワさんが質問する内容はあらかじめ決まっているのですか。

剣持:簡単な質問内容や構成はつくってはいますが、収録中にハヤカワさんが感じたことも含め、自由に質問してもらうようにしています。

中尾:番組のテーマを考える際には時事性も踏まえているのでしょうか。

剣持:元々、番組のテーマとしていま旬な方をゲストにお呼びしているので、時事性はそれほど気にしていないです。番組収録後に新たな事業のお話が出て、ニュース性が出ていることはあるかもしれませんが。

中尾:2番組分(放送時間にして1時間)を1時間半で収録しているそうですね。もっと長い時間収録をされているのかと思っていました。

剣持:この番組のユニークなところは、パーソナリティとゲストは面識がなかったにも関わらず、SNSでお互いの人となりは知っているというパターンが多いこと。Z世代のパーソナリティならではですね。SNS上で人となりを知ってから会えるので、収録時間が短くても打ち解けやすいのかもしれません。

中尾:収録はどのように行っているのでしょうか。

千葉:制作側がノーリアクションだと、パーソナリティとゲストも不安になります。話す不安を和らげるために、サブブースのガラスの向こうで「話を聞いているよ」「あなたの話面白いよ」と体で表現して伝えています。これはリスナーには見えないところですが…収録室の空気をつくることが制作側にとって最も重要です。

剣持:ラジオブース内で、話が途切れてしまったときに質問を投げかけたり、見えないところでアシストはしています。ラジオの収録室ならではの、密閉感が人の心に入り込みやすいので、ゲストから普段聞けない話も聞き出せる。そこがラジオのよいところだと思っています。ただ現在は、リモートでの収録になっているので、今後リモート収録をどう対面収録に近付けていくかが課題です。リモート取材はラジオ番組に慣れていない方にとっては良い収録方法だと思うので、使い方次第ですね。

中尾:この番組の良さをどうお考えですか。

千葉:まずラジオというメディアの良さとして、偶然番組と出会う機会をつくることができます。直接リスナーに自分の発する言葉でプロダクトやサービスに込める思いを伝えられるというのが番組の魅力ではないでしょうか。

剣持:熱とストーリーがなければプロダクトやサービスの良さは伝わらないと思っているので、ゲストの声を引き出すことでプロダクトやサービスについて伝えていきたいですね。

【取材を終えて】

 

番組制作に関わる方がリスナーに聴きたいと思ってもらえて、なおかつスポンサー企業の方が企業として伝えたいメッセージも伝わるような、ラジオ番組の制作の舞台裏を取材しました。

取材の中で、「チームで番組を制作している」という言葉が印象に残りました。実際の放送では、パーソナリティであるハヤカワさんとゲストの声しか聴くことができませんが、番組が制作されるまでに多くの立場の人が関わっていること、そして様々な立場の方が番組の構成に携わることで、間違いないと思える番組をつくることができるのだと感じました。