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『なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。』(伊藤公一著)— はじめに

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「宣伝会議のこの本、どんな本?」では、弊社が刊行した書籍の、内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」と、本のテーマを掘り下げるような解説を掲載していきます。言うなれば、本の中身の見通しと、その本の位置づけをわかりやすくするための試みです。

はじめに

伊藤公一著『なんだ、けっきょく最後は言葉じゃないか。
2月16日発売 定価1760円

言葉の重要性はますます増している。

会社勤めの人ならおわかりだと思うが、職場で、コミュニケーション能力の高い人と低い人では、仕事の質だけではなく、その組織の中での生きやすさにも大きな差が生まれてしまう。もちろんコミュニケーション能力は天性のものであることもある。「あいつは言ってることはめちゃくちゃなのに、不思議と憎めないんだよな」なんて言われる人のことだ。しかしそういう恵まれた人も、よく観察してみると、他人に可愛がられる話し方、正確に言うと、こう思われたいという自分のイメージに相手を誘導していく話し方や言葉使いをしていたりする。

学生の場合、コミュニケーション能力が問われる最大の場は就活です。私も会社員時代、面接官を何度か務めたことがある。今の学生はソツがなく、面接の受け方もよく勉強していて、言葉に詰まったり、しどろもどろになったりするウブな学生さんはむしろ少数派になっている。しかし面接しているこちらはだんだん退屈になってくる。みんな同じなんです。面接攻略本どおりの返答が続くのですから、こっちは飽きてきます。立て板に水のように自己アピールをすることとコミュニケーション能力の高さは同じではありません。

本当に能力の高い人は自分の言葉で話します。

私が面接官をした時は、自分の言葉で話す学生に、たとえ話し方が拙くても高い点をつけていました。

この本では主に書き言葉の話をしていくことになりますが、そのトレーニングは会話にも必ず生きてくると思います。

会社員や学生という枠を取り払って、一個人としての言葉を考えてみても、言葉の力を磨くことは大切だと思います。ここでいう言葉を磨くとは、何も気の利いたうまい言い回しを使おうということではありません。

SNSでの発信、飛び交うメール、顔の見えないコミュニケーションが増えていくなかで言葉を発するということはとても難しい。下手をすると、発した言葉が誤解されて、思わぬトラブルに巻き込まれたりしかねません。

面と向かって話していれば、相手の表情や声色から感情は伝わってくるので、誤解はその場で解決できたりもする。しかし、メールやSNSではそこに書かれた言葉が全てです。きちんと自分の気持ちを伝えるにはいったいどんな言葉を使えばいいのだろう。そんな悩みを持っている人は少なくないと思う。

私は大学を出て広告会社でコピーライターをやってきました。入社の面接ではハッキリと営業職を希望します! と答えたつもりだったのに、なぜか配属はクリエーティブで、思ってもいなかったコピーライター。ハッキリ言って、やっていける自信なんて皆無でした。その日から、伝わる言葉とはどうやって書くのだろうと、毎日考えてきました。この本には、その中で自分なりに身につけてきた、強く伝わる言葉の書き方をなるべく体系立てて、わかりやすく書きました。元になっているのが広告コピーの書き方なので、業界の若いコピーライターはもちろん、戦略プランナーが読んでも役に立つはずです。そして、それ以外の職種の方や学生さんにもヒントになるはずです。コミュニケーションから無縁でいられる人はいないわけですから。

私は決してコミュニケーション能力に恵まれていたわけではありません、なんせ面接で営業職希望とあんなにハッキリ言ったのにコピーライターにされてしまったわけですから。私の思いは伝わっていなかったのですね。

だから大丈夫、言葉は努力すれば磨けます。