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コラム

コピー年鑑と私

脳を“広告脳”に切り替えるスイッチ(文・斉藤賢司)

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東京を中心に日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体である東京コピーライターズクラブ(TCC)。「TCC賞」応募作品の中から、コピーの最高峰を選ぶ広告賞「TCC賞」の入賞作品と優秀作品を収めた『コピー年鑑』は1963年に創刊、2022年度で60冊目を迎えます。各年鑑はその時々の時代性を広告という側面から反映した貴重なものとなっており、特に、コピーに関してはバイブル的存在として受け入れられています。
そんな『コピー年鑑』をテーマに、本コラムではTCC会員であるコピーライターやプランナーが執筆。第11回目は、ファーストリテイリングなどを手がけている斉藤賢司さんです。

20代の頃、コピーを考える前の“儀式”がありました。机に数冊のコピー年鑑を積み上げ、数多の広告コピーを次々と見ていくのです。

……なんて言うとパクるネタ探しみたいですが、違います。自分の脳を“広告脳”に切り替えるスイッチと思っていました。

人が人に伝えるために考えた、切り口の数々をたどる。たとえば……、変化を見せる。不満に気づかす。思想を語る。それがない暮らしを仮定する。コンプレックスを突く。機能を直截に語る。一見関係ないものに喩える。使う人をブランド化する。行動に呼び名をつける。自虐の中に紛れこます。最後にひっくり返す。ひとつ先の便益を語る。自分以外をユーモラスにけなす、などなどなど。

シャワーのように浴びて、ふと自分の担当商品を見る。すると、いつもと違う角度から見ることができる。そんな感覚です。

広告の基本は“コピー的な発想”だと信じています。コピー年鑑は、若い私にとって学校でした。年鑑を通して、伝えるということが“体に入った”ように感じます。

この学校の門を新たにくぐる人が増えることを願っています。この学校は、おもしろいですよ。ほんと。

斉藤賢司 さいとう・けんじ
TCC1997年入会

コピーライター/クリエイティブディレクター。1969年生まれ。博報堂を経て、2007年、ホンシツを設立。最近の仕事:午後の紅茶、ファーストリテイリング など。商品・事業開発の段階から関わる案件も多く、日清食品「カレーメシ」のネーミングなども手がける。教育系スタートアップatama plusの創業時よりブランド戦略顧問を務めるなど、仕事の領域を広げている。

※六本木「文喫」にて「ことバー Presented by TCC」が開催中です。
開催期間:2022年4月27日(水)~6月5日(日)
営業時間:9:00~20:00(L.O. 19:00)
観覧料:入場無料

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関連リンク
『コピー年鑑2021』東京コピーライターズクラブ (編集)