『えんとつ町のプペル』でブロードウェイを攻略する(西野亮廣)【前編】

【前回コラム】コピーライターの技術で人を「ホメる」って、どういうこと?(ゲスト:コピーライター 澤田智洋)

今週のゲストは、映画『えんとつ町のプペル』(2020年12月公開)のヒットが記憶に新しい、キングコング 西野亮廣さん。『プペル』のミュージカル公演をYouTubeで全編無料配信するなど、新境地を次々と切り拓くその姿に、目が釘付けです!

今回の登場人物紹介

(左から)中村洋基、西野亮廣、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)。

キングコング 西野亮廣、3度目の登場!

権八:はい、皆さんこんばんは。CMプランナーの権八です。

中村:はい、こんばんは~。Web野郎こと中村洋基です。あれ、澤本(嘉光)さんは?

権八:澤本さんは、お休みじゃないんだよね。いないけどね。

中村:聞くところによると、沖縄バケーションだかなんだか……。出張とは言ってましたけど。

権八:バケーションなの、あれ?(笑)。

中村:ぼくはバケーションに聞こえましたけどね。

権八:でも、沖縄でなんかイベントがあるとは言われていましたね。

中村:そうそう、マーケティングのなんちゃらサミットみたいなのがあると。

権八:カンファレンス的なものがあって、それに参加されるらしく。後で、そこから中継で参加できるかも、と言われてましたね。

中村:もしかしたら、ワイン飲んでベロンベロンに酔っ払ってる可能性がありますけど。

権八:なに~!そんな状況なの?(笑)

中村:琉球泡盛を飲んでいるのか、わからないんですけど……。っていう状況です。はい、というわけで、今夜も素敵なゲストにお越しいただいております!なんか久しぶりだね~。

権八:久しぶりすぎて、俺ちょっとさ、名刺が変わったから名刺交換しよう。

中村:ちょっと!(笑)、進行させてくださいよ。ゲストは3回目のご登場ということで。キングコング 西野亮廣さんです、よろしくお願いします!

西野:こんばんは、お久しぶりです~!

本人も知らぬ間に「結婚」していた!?

中村:前に来たのが2018年の2月だから、4年前ですね。

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権八:でも、この4年の間にさ、また益々大きくなってというか、ホントにもう……。

中村:半端ないですよね!(笑)

西野:いやいや、親戚のおじちゃんみたいじゃないですか(笑)。

中村:あはははは!

権八:いや、すっかり、ね。全然来てくれなかったもんね。

西野:いや、ちょいちょいちょい!(笑)呼ばれていないからですよ!呼んでくれないじゃないですか、全然(笑)。

権八:いやいやいや!

西野:いや、ありがとうございます。嬉しいです、久しぶりにお会いできて。

権八:いや~、ホントに。僕、会社が変わったんですよ。もう今はひとりでやっていて。

西野:へえ~!

権八:よろしくお願いします。

中村:いま、権八さんが新会社の名刺を渡しているところですね。

権八:株式会社 ゴンパ。(笑)一応、そこを触るとね、「ヒゲを感じるつくり」になっているんですよ。

西野:なんでそんなことするんすか!(笑)ありがとうございます。

権八:こちらこそ、よろしくお願いします。でもさ、僕は昔から面識あったからね。

中村:そうですよね。

権八:その後、また何かのきっかけで……。本の発売とか、映画だったっけな……。

中村:そうそう。確か「レターポット」の新しいサービスの話を聞いたわけですけど。

権八:今日もまた、すげえ話を聞けるんだろうな~。

西野:いやいや、何もないですけど、別に(笑)。

権八:いや、あるでしょう。

中村:相変わらずね、Twitterとかを見ると炎上じゃないですけど、「また西野が」みたいな(笑)。

西野:なってるんですか!?(笑)

権八:でも、昔に比べれば減ったんじゃない?

西野:炎上ですよね?あんまりなくなりましたね。

権八:寂しいよね。

西野:いやいやいや~!(笑)

中村:ちょっと恋しい?(笑)

西野:いやいや、火は恋しくなっていないですよ(笑)。

権八:自己紹介の前に、この間LINEしたんだけどさ。ネットで結婚したって出ていたから「おめでとう!」って言ったんだけど(笑)。

西野:ちょっと、やめてくださいよ(笑)。

権八:編集者の箕輪(厚介)くんがそんなツイートをしていて。それを見て「え、マジ!?」と思って「おめでとう~!」ってLINEを送ったんだけど。

西野:あはははは!

中村:その話も聞きたいんですけど、毎回ゲストの方にお願いしている「20秒自己紹介」というコーナーがありまして。この「すぐおわ」は広告の番組ということで、ご自身の自己紹介をラジオCMの秒数の20秒でやってください、というコーナーです。大丈夫ですかね?

西野:は~い。

中村:では、どうぞ~!

カーン♫

西野:どうも~、キングコングの西野亮廣です。お笑い芸人をしたり、絵本作家をしたり、映画をつくったり、ミュージカルをつくったり、ここ最近だと婚姻届を勝手に出されたという……。そういう不思議な経歴を持っている男です。よろしくお願いしま~す。

カンカンカン♫

婚姻届も離婚届も、実は「勝手に」出せる

権八:早速だけど、なんなの?

西野:なんなのって、僕が仕掛けたわけじゃないんですよ、別に(笑)。

権八:おめでとう~!じゃないの?

西野:じゃないっすよ。勝手に出されたんですよ、婚姻届。

権八:そんなことってできるの?

西野:できるんですって、これが!

中村:へえ~。

西野:もっと言うと、離婚届も勝手に出せるんですって。

権八中村:ええ!?

西野:そうなんですよ。

中村:よくドラマとかで「あなたがここに判を押して、サインしたら終わるよ」みたいなことをやっていますけども。

西野:いや、あれは嘘ですね。

中村:できちゃうんだ?

西野:はい。婚姻届も勝手に出せます。

中村:すげえ~。

西野:僕は今回、婚姻届を勝手に出されたんですけど、一応通知が来るんですね。その通知も区役所から「ちょっとこれ、本当に西野さんですか?」って。いろいろ本籍とか違っていたので。

中村:テキトーだったんだ?(笑)

西野:雑な部分がいっぱいあったんで、「これ怪しいな」となって。最近、こういう被害が多いから、ということで、区役所から連絡があって。たまたま僕もその郵便物を開けて見たからよかったものの、受理されることもあるんですって。

中村:ええ~?

西野:そういう場合はもう籍が入っちゃって、籍を抜こうと思ったら裁判をしなきゃいけないっていう。日本の法律上、そうなってるんですよ。

権八:嘘でしょ!?

西野:そうなんですよ。だから、勝手に出せちゃうんですよ、婚姻届って。

権八:そっか。自分では書いていないけど、筆跡を真似て、というか。

西野:それとか、ハンコを勝手につくって。だから、これはすごい犯罪ですよ。ガッチガチの犯罪ではあるんですけど、でも勝手に書いて出すことはできるという。それを止めようと思ったら、不受理の届けを出しておかなきゃいけないんですよ。こっちからブロックできるように。
要するに、僕が区役所で「今後、こういうものが出されても受け取らないでくださいね」という約束をしておかないと、基本的に婚姻届って勝手に出せちゃうんです。

中村:そんなブロックをするやつ、いるのかね~?(笑)

権八:でも、ホントにYouTubeの企画とかじゃなくて?

西野:いや、本当にガチガチの被害者です(笑)。

権八中村:あはははは!

西野:だって僕、行ったんですから区役所まで。

中村:それでも、実は過去にエロい事件があった、とかそういうのですよね?

西野:いやいや、過去に手を出した女の子とかじゃなくて、全く面識のない……(笑)。

中村:コワ〜!!

権八:その後、その人とはコンタクトを取ったんですか?

西野:いや、取ってないです。それをまた刑事事件にするのも嫌だったので。もう不受理の届けも出したし、これはそっとしておこうと思ったら、権八さんみたいな人が「おめでとう!」って言って燃やしにかかるという。箕輪さんとか権八さんとかですよね(笑)。

中村:梶原(雄太)さんも、ご祝儀袋を持ってきたんでしょ?

西野:そうなんですよ!(笑)でも結婚していないです、僕は。する寸前だったっていう感じです。

権八:そうなんだ~。それはつまり、ストーカーってこと?

西野:まあ、そうですね。ガチガチの。

権八:そこら中でさ、ピュッピュ、ピュッピュ出してるからね。

西野:ちょっと、なんですかそれ!(笑)

中村:それはまた……。シモの話ですよね。

西野:あはははは!

権八:いや、モテるからね。

西野:いや、ピュッピュ、ピュッピュ出してないですよ!(笑)

権八:出してない~!?

西野:なんなんすか、その表現は(笑)。

権八:ちゃんとしつこく拾って、さすが芸人!(笑)

『プペル』ミュージカルを無料公開に踏み切った理由

中村:やっぱり映画の話、『えんとつ町のプペル』をね。

西野:あ〜、はいはい!

中村:なんかね、自分は何にも言っていないのに、うちは子どものほうから「プペル見たい!」ですよ。

西野:ええ~!?もう、嬉しい!

中村:西野さんにとっては古い話かもしれないけどね、そもそもその辺のお話を。今、バレエ化する予定とかね。なんといってもミュージカル。これがちょうど今日(7月3日)、無料公開でしょう?

西野:そうです、そうです。去年の11月にミュージカル『えんとつ町のプペル』の日本公演があったんですけど、それをガッツリ動画に撮っていたんですね。オンライン配信用に撮っていたもので、公演後1カ月間ぐらいは「オンライン配信チケット」として売っていたんです。でも、それももうやめようという話になって。
もう無料で全編公開して、英語字幕もつけて、世界中の人がそれをいつでも見られるようにしようということで。今日、7月3日からYouTubeで全編無料公開ですね。

 

中村:おお~、すごい。

権八:これ、前の時もさ。西野くんてほら、なにかと無料でバーン!ってやるじゃない?

西野:あはははは!

権八:なにかとって、言い方が雑で申し訳ないですけど(笑)。

西野:いや、絵本もそうでしたから、確かに。

権八:みんなが「ええ~!?」みたいになって。でもそれには狙いがもちろんあってさ。今回もまた、「無料で全編公開」というのはすごいことだと思いますけど。これはどういった経緯なんですか?

西野:いや、いくつか理由はあるんですけど。まずは一番手前のところから言うと、もう「知らないものは見に来ない」なんですよ。要は、ここから先は、もう一か八かでエンタメを選ぶことはないなって。

中村:「ジャケ買い」はない、と。

西野:そうです、もうジャケ買いはなくて。基本的には「中身がわかっているものを確認しに行く」ことでしかないわけですから、“ミュージカルはもう、映像で全部見られます”にしないとな、と。これを生で見たければ劇場に来てください、というふうにしないと、劇場に足を運んでもらえなくなるな、というのが理由の一つ目。

二つ目は、ここがすごく大事なラインだと思うんですけど、この数年で2000〜3000円ぐらいの商品を買う人が減ったな、という実感があるんですね。その一方で、10万円のものを買う人はあんまり減っていない。要するに、中間層がちょっと貧しくなったのか、お金が回らなくなっているのか、「何かしら」が起きていることはもう間違いなくて。

その視点で言うと、僕たちはこの一番層が厚いところに買ってもらおうとしていたんですが、この層が実はもういなくなっている、と。それなら、ガッツリやり方を変えてしまおう、となったんですね。要は、VIPからお金をいただいて、そうじゃない人には無料で提供する。そういうふうに分けていこうと。

飛行機のファーストクラスとビジネスクラス、エコノミーみたいに、値段の差を思いっきりつけよう、というね。ああいった感じで分けないと、もう回らなくなるのを感じていて。ミュージカルも、基本的には無料で見られる。ただ、これをすごくいい席で見ようと思ったら、劇場にちゃんとVIP席みたいなものをつくらなきゃね、と。そういった仕組みをつくろう、というのが今回の二つ目の試みですね。

中村:う~ん、なんとなくわかる気がする……。

西野:三つ目は、これはもう最終的にGOになったんですけど、去年の12月にアメリカでの公開があって。その時、映画の試写会後にレセプションみたいなのがあったんですよ。そこで、日本公演の映像を会場に流していたんですね。そしたら、アメリカの映画関係者の方が「これは何なんだ?」となって、「早くアメリカに持ってこい!」ということになって。

「あれ?これって、全然刺さってるな」と思ったんですよ。それなら、もうネットに上げてしまって、英語字幕も載せて、世界中の人がアクセスできるようにしたら一気に広がるよな、と。
つまり、「誰でもアクセスできる名刺」として、一つ出しておこうということで。理由としては以上の三点ですね。

権八:う~ん!なるほど。

中村:じゃあ、映画と同時期なんですか?アメリカの時は。

西野:ちょっとずれてますね。アメリカは去年の12月だったので、映画の方が早いんですけどね。ミュージカルは、もうこの時には終わっていますね。
そういえば、6月中旬にブロードウェイで「リーディング公演」をやったんですよ。これは何かというと、ブロードウェイの投資家の人とか、劇場のオーナーさんだけを呼んで『えんとつ町のプペル』はこういうストーリーですよ、という“ストーリーのお披露目会”みたいのがあって。そういうことがもう裏では進んでいて、今はブロードウェイを攻略してやろうっていう段階ですね(笑)。 

このリーディング公演は、役者さんにやってもらうんですよ。その時に、日本公演の映像を見せたらもう、反応がむちゃくちゃ良くて「やるやる!」って言ってくださって。それでチームが集まったんですけどね。

権八:あ、それは役者の方のリアクションだ?

西野:はい。向こうのオンブロードウェイでバキバキにやっている人が「バッ!」て集まってくださったのは、日本公演の映像を見たのがすごく大きくて。それを見たら「全然、刺さってんじゃん!」と。あとはもう、「見つかるだけ」というところまで来たので、これは温存してる場合じゃないなと判断して、誰でも見られるようにしたんです。

権八:すごい!もうドンドン「打倒ウォルト・ディズニー」に近づいているよね。

西野:あはははは!いや、もう頑張ろうとは思っていますよ(笑)。

絵本の時から、完全に映画化を狙っていた

中村:そもそも、全然お会いしていない期間が長い僕らからすると、「映画化」すらも正直びっくらこいたんですけど。

西野:はははは!確かに、確かに。

中村:ちなみに、映画化はどんな流れで進んでいったんですか?

西野:あれはね、もうむちゃくちゃ狙ってはいたんですよ。つまり、絵本の『えんとつ町のプペル』をつくった時に、最初から「映画にしよう」と狙っていたわけです。じゃあ、どんな段取りでそこを崩していったかといえば、ここが結構大事なラインなんですけどね。「映画をつくる人たちの企画会議」を想像して、どんな会話が繰り広げられているんだろう?というところから逆算していきました。

そこには、僕がむちゃくちゃ参考にしている考え方があるんですよ。「ASIAN KUNG-FU GENERATION」とかのジャケットを描かれている、イラストレーターの中村佑介さんという方が昔教えてくださったんですけどね。中村さんって、昔からCDジャケットを描く人になりたかったんですって。中村さんが言ったのは、まず「会議室」を想像するんだと。「CDのジャケットを誰に頼むか?」という会議が絶対にあるはずだと考えて、中村さんは端から「正方形の絵」しか描かなかった、というんですね。

中村:ああ~!

西野:正方形の絵を描いて、音楽事務所のどなたかが「これ、ジャケットに使えるじゃん!」って言う。要するに、「思い付かせる」ことがむちゃくちゃ大事だとするなら、絵本も全く同じなんですよ。映画のカット割りのようにキャラクターがいる、とか。俯瞰で、あるいは魚眼レンズで撮る、とか。下から舐めるようにして撮る、というのもそう。

中村:工場街のダイナミックな夜景とかもそうですよね。

西野:映画っぽいカメラ割りで絵本にしてしまえば、それを見た映画関係者の誰かが、「これ、映画にできんじゃね?」って、絶対に言うはずなんですよ(笑)。

中村:確かに!(笑)

西野:というところからやっていたら、本当に「映画にしようよ」って話があって。もう「やります!」みたいになって、それで飛びついたという感じです。

映画公開のタイミングでコロナ禍に!

中村:西野さんは映画は初ですよね?

西野:そうです、そうです。

中村:あとは、ビジネスとか配給とか、いろんな映画の仕組みも含めて。それはどうでしたか、面白かったですか?

西野:むっちゃくちゃ面白かったですね!勉強になりました。ただ一方で、自分が映画を公開するタイミングでコロナになったんですね。コロナって、やっぱり第一波と第二波の時の深刻度って今とは違いましたよね?

本当に街中に人がいない、みたいなね。その時期とモロにぶつかったんですよ。それで、予定していたプロモーションが一回全部白紙になり「さあ、どうする?」っていうところで、またむちゃくちゃ燃えたという(笑)。予定していたことは出来なかったんですけど、でも、それが多分良かったと思うんですよ。みんなであれやこれや考えて。

中村:延期しますか?みたいな感じにはならなかったんですか?

西野:「延期しますか」も、ありました。でも、これは「そういうこと」なんだな、と思ったんですよ。「お前はここでやれ」って言われてるんだな、と思って。

権八:え、どういうこと、どういうこと!?

西野:要するに、8年間ぐらい準備をしてきて、満を持して「さあ、やるぞ!」となったタイミングで100年に一度のパンデミックが来た、というのは……。なんだか「この中でやれ!」って言われている感じがすごくして。

権八:なるほど。

西野:それならもう「コロナ・シフト」を組んでしまって、どうすれば届けられるんだろう?と考える会議がそこから始まるんですけど。結果的には、それが良かったですね。コロナが来ていなかったら、そんな手は打っていなかったよね、ということがいっぱいありましたから。もう、毎日あれやこれやと手を打ったので、それがやっぱりすごく良かったですね。

次々と繰り出される、驚きの「秘策」

権八:それは、話せる範囲で言うと、具体的にはどんなことをやったんですか?

西野:例えば、さっきの「VIP」の発想とちょっと近いんですけど……。僕は蜷川実花さんと仲がいいんですけど、彼女の映画を観に行った時に、本当に素晴らしい映画だったし、その映画をつくるのに彼女がどれだけ苦労したかを知っていたので、観終わった後に「もっとお金を払いたい」と思ったんですよ。

権八:おお~!

西野:それって、あるじゃないですか(笑)。友だちとか知り合いの作品とか、後輩の作品には10万円払って、これをスタッフさんのお昼代か、打ち上げ代とかに使って!みたいなことですね。そんなわけで僕、「少なくとも10万円は払いたい」と思ったんですね。彼女の頑張りを知っているので。
でも、お金を出したい人がいるにもかかわらず、映画にはその受け皿がないんですよ。要するに、VIP対応が全くなされていないんですね。じゃあ、「この試みが最高だから10万円出したい!」と思っている人にそのお金を出してもらうには、どうすればいいんだろう?と考えたんですよ。

中村:はい。

西野:そこでやったのが、結構良かったんです。まずは映画『えんとつ町のプペル』を観たい、という子どもたちを集めるんです。例えば、兵庫県川西市のサッカースクールとか、千葉県のダンススタジオとか。そのコミュニティの代表の方が「みんなで一緒に観に行きたい!」と言ってくれて。
5人とか20人とか30人のグループ、あとは児童養護施設が手を挙げてくださって。それらを一回全部リストアップして、それを今度はクラウドファンディングのリターンで出したんですよ。これはどういうことかというと、クラウドファンディングのリターンで兵庫県川西市のサッカースクールの子どもたちに映画『えんとつ町のプペル』を見せてあげられる券、という意味です。

権八中村:ああ~!

西野:だから例えば、5万円払ったら千葉県のダンススクールの子どもたちに映画を見せてあげられる券、みたいな。そうやると大体、その地元の先輩が「出す」って言ってくれて(笑)。それをすれば間接的ではありますけど、『えんとつ町のプペル』に10万円を出したい人が「子どもにプレゼントする」という名目でお金を出せるので。それを結構やりましたね。

中村:なるほど!

権八:すごい、ね……。

中村:めちゃくちゃマーケティングというか……。マーケティングを超えてますね、発想が。

西野:ははははは!そういうことをもう、100個近くバーッて球を打って。でも、それも通常のプロモーション、つまりは舞台挨拶みたいなことが全部できなかったからなんですよ。だから、そういう「何か」を絞り出すしかなかったという。何も手を打たなかったら、「終わる」ことは決まっていたので。だから、ずっと考えていましたね。

権八:すごいね。相変わらず、キレッキレだね!でも、ホントによくそんなこと思いつくな〜。っていうね。だって、やっている人いないじゃん。いるの?

西野:いや、いないですね。やると、軽く炎上するんですよ。

中村:あはははは!また?

西野:前例がないので「そんなことをしたらダメだ」みたいなことを言う人がいて。でも、「ダメだっけ?」と思ってるんですよ。誰が何を損してるんだっけ?と。でも、なんだかダメだというのがあって、みんなあんまりやらないですね。でも、そのうちやり始めるんじゃないですかね?さすがに、今のやり方で映画を届け続けるのはだいぶ難しいと思うので。

権八:なるほど~。

中村:でも、今のは思いつかなかったですね。クラウドファンディングを使って、つまりは、マッチングしてあげるということですよね?ちゃんと視聴者数も増やして、観たい子どもたちも大喜びで。で、ちゃんとVIPにとっても満足感がある、と。

映画の「副音声」に活路がある!?

西野:あとはこれ、結構最近増えてきた感じがするんですけど……。僕はむちゃくちゃやったんですけどね。映画って、ふつうは映像を観に行くじゃないですか?それも素晴らしいなとは思うんですけど、今、映画の「副音声」にだいぶ可能性があるな、と思っていて。例えば「HELLO! MOVIE」というアプリがあるんですけどね。要するに、このアプリをダウンロードしてヘッドホンをつけたら、映画の音を拾って、映画の進行に合わせて音声が流れるんですよ。

中村:ほー、面白い。

西野:これの何がいいのかと言えば、映画監督とかが「このシーンをやる時、ホント大変でさ……」みたいな裏話ができるというね。そうすると、ファンの人からすると、1回目は普通に映画を観て、2回目は副音声を聞きに映画館に行くという。これは結構アリだなっていう。

中村:確かに!

西野:僕らはその副音声も3パターンぐらいつくりましたね。僕が裏側を解説しているパターンと、あとはキングコングのふたりで映像を見ながらうだうだ喋ってるのとか。そういった感じで映画を2回、3回と観に来てもらうみたいな(笑)。そういう仕掛けをやっていましたね。

権八:すごい!

中村:すごいなぁ~。その副音声の発見と思いつきも、素晴らしいですね。

西野:そうですね、もう「意味を変える」ということですよね。映画をBGMのようにして、どっちかというとメインコンテンツが副音声みたいにすると、また違う味わい方があるという。

権八:ということは、映画館で映画を見ながら、そのお客さんはイヤホンをしている、と?

西野:あ、そうです、そうです!映画の音も入ってはいるんですけど、その音声も、っていう。キングコングの副音声はずっとふざけているので、お客さんがキャーキャー笑ったらまずいかも、ということで、「今日は、キングコングの副音声の日」ということにして。

中村:あ~、それじゃあ、笑うのもちょっと共犯関係っていう。

西野:そうです、そうそう。なんだか、そんなことをあれやこれやとやっていて(笑)。

権八:いやー、素晴らしい!

中村:すごいね!!

権八:楽しいね、人生(笑)。

西野:いやいやいや、もうホント、必死ですよ!(笑)

澤本・権八のすぐに終わりますから。まだまだ話は尽きませんので、来週も引き続きキングコングの西野亮廣さんをお迎えしてお送りします。

〈END〉後編につづく


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