企業のサステナブルな理想像を現実にTOWが提案する「環境配慮型イベント」とは?

五感に訴えかける体験を提供できるリアルイベントの実施は、自社商品やサービスの認知度向上や理解促進において大きな効果をもたらす。その一方で人やモノの移動は多くのエネルギーを消費し、資材の廃棄などもイベント業界においては長年の課題になっていた。そうした中で、統合プロモーション企画制作会社のTOWが2023年2月「サステなイベントガイドライン」の提供を開始した。2023年7月に実施したロクシタンジャポンの事例と併せ、同社の環境推進プロジェクトに携わる4名に話を聞く。

「愛されるブランド」をつくるエシカルマーケティングを支援

TOWが環境に配慮したイベント実施の指針「サステなイベントガイドライン」を策定したのは、2023年2月のこと。同社執行役員の海老根俊一氏をリーダーとして、社内のプロデューサーやプランナー、協力会社からもメンバーを募り「環境推進プロジェクト」を立ち上げた。

「当社では15年前にISO14000※1を取得し、社内のペーパーレス化などを進めてきました。ただイベントのサステナビリティ化に関しては、例えばLED照明を使用するなど、その実施範囲は限られていた。そんな中、昨今のESG経営への取り組みの加速やSDGsへの関心の高まりを受け、まずはガイドラインの策定から始めました」(海老根氏)。

重視したのは「イベントプロデュースのプロ」としての視点。環境省のガイドラインを基に、会場選定から廃棄に至る全てのフェーズにおいて実現可能であることを大前提に、環境負荷の削減ポイントを洗い出していった【下記参照】。

クライアントから求められるのは、イベントを通じた認知拡大や販売促進などに関する目標達成はもとより、企業としての事業成長をも実現しながら、同時に環境に配慮した取り組みを行うこと。2026年には日本国内でも、自社以外のサプライチェーンも含めた温室効果ガス排出量(Scope3※2)の開示が義務化される。プロデューサーとしてイベントを統括する渥美氏によると、現在は外資系企業を中心に、価格や品質に加えてサステナビリティの指標が取引先の選定基準に加えられることも増えているという。

若年層を中心にエシカル志向が当たり前のものとして受け入れられつつある中、こうした企業のアウトプットは「愛されるブランド」をつくることにもつながる。ロクシタンジャポンをはじめ、実際に本ガイドラインを導入した事例も増えてきた。

「イベントにおける温室効果ガス排出量を算出する独自ツールの開発も進めており、今夏を目途に提供予定です。当社が担当する年間1000件のイベントは、全てオーダーメイドの設計。様々な選択肢を提示しながら、各社の課題や環境に適した導入方法を提案していきたいと考えています」と海老根氏は今後の展望を語った。

※1 企業などが地球環境に配慮しながら事業活動を行っていくために、国際標準化機構(ISO)が作成した環境マネジメントシステムに関する国際規格群の総称。
※2 企業が自社の活動を通じて排出する温室効果ガス(GHG)を指す「Scope1」「Scope2」に対し、「Scope 3」では原料調達や廃棄といった他社のGHG排出量の把握も求められる。

 

「REGENERATION by L’OCCITANE EN PROVENCE」のテーマは「再生」。ラベンダー畑を再現した空間では、ロクシタンが生態系を守りながら行うラベンダーの収穫をAR体験によって訴求。独自の抽出フローが見られるオリジナル装置、フレグランス体験などを展開した。「単なる“勉強のためのコンテンツ”にならないよう、気軽に立ち寄ってロクシタンの取り組みを楽しく知ることができるようなイベント設計を重視した」とプランナーの阿久津氏。若年層へのアプローチも同社のひとつの課題だったが、実際にファミリー層や学生も多数来場。SNSでも写真と共に会場の様子が拡散された。
「素材をサステナブルにした際の課題のひとつは、コストとの兼ね合い。手に触れるものは可能な限りサステナブルな素材にする方針で、一つひとつ選定していきました」(本間氏)。

 

今回は、ロクシタンのサステナブルな取り組みを一方的に訴求するのではなく、あくまでお客さまがイベントを楽しむ中で、ものづくりにおける想いを感じていただくことが重要という前提があったため、本質的な理解のもと双方向性のあるリアル体験設計は非常に大切だと考えTOWさまをパートナーに選定させていただきました。お客さまの「こんなことをやっているとは知らなかった」「興味度が上がった」という声が多数あり、しっかりと伝わったことが素直に嬉しかったです。イベント全体にサステナブルの考え方を落とし込み、ブランドのバックグラウンドを知っていただいたことで、ブランドロイヤリティー向上のみならず、製品にまで興味を持っていただくことができたのは成功体験であったと感じています。

 

ロクシタンジャポン
コミュニケーション部 オムニチャネル&CX 藤田千晶氏

カフェエリアには廃材を使用したテーブルとベンチを設置。クッションカバーは過去にノベルティとして配布していたポーチ、ランプシェードは美容液の空き瓶をリメイクした。参加者全員に配布されたうちわやスタッフパスには間伐材を用いた。

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