広報による「売上アップ」「業績への貢献」はどこまで可能なのか?

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こんにちは、株式会社はねの矢嶋です。第9回となる今回は、前回に続き、以前募集した質問への回答回です。

今回取り上げるテーマは「広報による売上・業績への貢献は可能なのか?」、その上で「どのように広報計画を立てたらいいのか?」という、多くの担当者が一度は直面するであろうお悩みです。

「社長からメディア露出による売上アップを求められています」

本題に入る前にまず、事業会社の広報関連部門に所属する、えむさん(広報歴5年)からの質問をご紹介します(一部、特定を避けるため、いただいた内容から変更を加えています)。

現在、私は飲食チェーン店のひとり広報として働いています。認知拡大ファン獲得を目標に様々な活動を実施してきました。
 
最近広報に理解のあった上長から上が変わり、完全自走していかなければならない状況の中で、社長や経営層から求められるのはメディア露出による売上UPが第一です
 
コラムを拝見し、戦略の大切さ、広報のあるべき姿の重要性は理解できたのですが、それをどのように自社に落とし込み戦略を立てていくのか、目先の露出獲得の目標しか立てられず、長期的な広報戦略はぼんやりとしかイメージできていません。
 
目先の露出獲得に振り回されることなく、会社にあったあるべき姿を見出し、戦略をよりクリアにしていくには、どのような整理の仕方がありますでしょうか?よりリアルなお話をお伺いできれば幸いです。よろしくお願いします。
 
最近本コラムを発見し、一気に読んでしまいました。自身の職務経歴書の整理にも役に立つ内容で、食い入るように読ませていただいています。今後も楽しみにしています。

えむさん、ご質問ありがとうございます。

関連して、事業会社のマーケティング部門に所属する佐藤さん(広報歴13年)からも、同じようなご質問をいただいております。

複数サービスを運営するtoCの会社で広報マネージャーをしています。矢嶋さんのコラム、実務に沿った内容で毎回とても楽しみにしています。
 
経営面で計画未達が続いており、代表や上位層と経営課題/事業課題についての話になると、「売上未達が課題」「効果的な(売上増のための)戦略が策定できていないことが課題」といった論点になってしまいます。できるかぎり上位方針に沿った広報戦略を立てたいと思ってはいるのですが、正直、「売上貢献」以外の言語で話せる状況でもなく、かどいって短期的な売上効果に貢献できる戦略立案はかなりハードルが高く、経営層とどのようにアラインメント(連携)を行えばよいのか悩んでおります。
 
現状、売上未達への課題⇒企業理念やビジョンに共感するスキルの高い従業員の獲得と発信の不足、として経営層に提案を行い、了承も得たので採用広報に力を入れてはいるのですが、それも渋々という感じで、利益が出ていない中で売上に直結しない業務を新たに強化することにそれほど期待も要望もない状態です。
 
現企業には長く勤めており、愛着もあるので売上に貢献したい気持ちもあるのですが、現状で私がとれる対応はどのようなものか、もし可能でしたら矢嶋さんにアドバイスいただけましたら幸いです。

えむさん、佐藤さん、ご質問いただき、ありがとうございます。

お二人とも経営陣や事業部からの要請として「(短期的な)売上貢献」のニーズが高く、そのための目先の露出獲得に追われてしまい、中長期的な視点で広報戦略を立案し、経営陣や事業部とアラインメント(連携)していくことの難しさを感じておられるようです。

経営者が広報に対して、一定の事業貢献(≒売上貢献)を求めるのは至極一般的なことかなと思います。

そこで、経営陣の広報理解を促すために「広報の役割はステークホルダーとの中長期的な関係構築である」「企業価値の向上」といった教科書的な高説を垂れたところで、彼らが納得するとは考えにくく、説明コストが高いばかりか、建設的な着地点には落ちにくい気がしています。

では、私がもし同様のオーダーを経営陣から受けたとしたら、どうするか?

広報の有るべき姿や定義云々について議論するよりも、「売上貢献」という経営陣のニーズ・オーダーは所与のものとしたうえで、短期的な露出獲得以外で、広報として売上貢献できる別のアプローチの提案をすると思います。


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矢嶋聡(はね 代表取締役/元LINE、メルカリ広報責任者)
矢嶋聡(はね 代表取締役/元LINE、メルカリ広報責任者)

早稲田大学卒業後、ネットベンチャー立ち上げ、留学、PR会社勤務を経て、2008年にネイバージャパン(現LINE株式会社)入社。検索サービス「NAVER」・コミュニケーションアプリ「LINE」の広報・マーケティングを統括。2017年10月にメルカリに転職。グループ広報責任者として現金出品問題などのリスク対応や東証マザーズ上場、新規事業立ち上げ、大型業務提携/M&Aなどの広報を統括。2023年3月末にメルカリを退社し、7月に独立し戦略広報マネジメントに特化したPRコンサルティング会社「はね」を設立。

矢嶋聡(はね 代表取締役/元LINE、メルカリ広報責任者)

早稲田大学卒業後、ネットベンチャー立ち上げ、留学、PR会社勤務を経て、2008年にネイバージャパン(現LINE株式会社)入社。検索サービス「NAVER」・コミュニケーションアプリ「LINE」の広報・マーケティングを統括。2017年10月にメルカリに転職。グループ広報責任者として現金出品問題などのリスク対応や東証マザーズ上場、新規事業立ち上げ、大型業務提携/M&Aなどの広報を統括。2023年3月末にメルカリを退社し、7月に独立し戦略広報マネジメントに特化したPRコンサルティング会社「はね」を設立。

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