最終回 優れたリーダーたちの「私の発注美学」(永久保存版)

6回にわたって続いてきた発注美学の連載も、今回で一区切り。宣伝会議さんから発注いただいた期待に応えられているか、自問しながら最終回の筆をとっています(なんどか期限を守れなくてすみません・・・)。

明確な定義があるわけではない美学について、プロジェクトを成功に導くためのヒントを探ってきましたが、突き詰めれば突き詰めるほど感じてくるのが「一つの正解がなく、教科書にまとめるのが難しい」ということです。これに気づくと、同時にワクワクしてきます。もっと多くのプロジェクトリーダーから発注美学を学びたい。連載を通じてますます膨らんだ知的好奇心に向き合うために、本稿では僕が尊敬するリーダーから寄稿いただいた発注美学を、保存版としてアーカイブさせていただきます。ご多忙の中ご協力いただいた9名のみなさま、ありがとうございました。

選りすぐりの「発注美学」、おひとりずつ見ていきましょう。

阿座上陽平さん(株式会社Zebras and Company 共同創業者/代表取締役)の発注美学:

受発注は単なる取引ではなく、双方の成長を促す機会だと考えています。特に発注者は、受注者の才能を見極め伸ばす責任を負い、プロジェクト全体の可能性を拓く存在です。その意味で、発注前の選定段階こそが極めて重要であり、適切なパートナーを見極める時点で成果の七割は決まっていると思います。プロジェクトが動き出してからは、意図を正確に共有し、発注者と受注者という上下関係を超えて共創パートナーとして議論できる関係性を築くことを重視しています。形式的な依頼と応答に終始してしまえば、責任の押し付け合いや表層的な成果に陥り、成功は望めません。むしろ、お互いに無理のないスケジュールで役割を分担し合い、才能を最大限に引き出すことによって、初期の期待を超えるアウトプットが生まれる——それこそが「発注の美学」であり、発注行為の醍醐味だと考えています。

「双方の成長を促す機会」という視点に、ハッとさせられます。その視点が双方にあれば、難題はもっと盛り上がり、愛せるお題になっていくものだなと。成長こそ最大のモチベーションになるという真理に基づく素晴らしい発注美学ですね。受注する側も、発注者の成長につながるチャレンジングな提案をできているか、そんな視点を持つことが美しいです。

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出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)
出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)

1985年石川県金沢市生まれ。2011年アクセンチュアに所属時にKonelを創業。東京、金沢、京都、ミラノを拠点とし、デザイン・研究開発・アートの領域を横断するプロジェクトを推進。2020年、新規事業のための知財データベース「知財図鑑」を立ち上げる。プロジェクトデザイナー/知財ハンターとして分野を超えた未来実装を続けている。J-WAVE(TOKYO MORNING RADIO / INNOVATION WORLD)にてコメンテーターを担当。Red Dot/One Show/D&AD/ACCなど国内外での受賞歴多数。2023年 Forbes Japan NEXT 100に選出。著書に、オープンイノベーションのメソッドをまとめた『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』(日経BP)。プロジェクトリーダーのためのポッドキャスト番組「Project Design Room」を配信中。

出村光世(Konel・知財図鑑:CEO/プロジェクトデザイナー/知財ハンター)

1985年石川県金沢市生まれ。2011年アクセンチュアに所属時にKonelを創業。東京、金沢、京都、ミラノを拠点とし、デザイン・研究開発・アートの領域を横断するプロジェクトを推進。2020年、新規事業のための知財データベース「知財図鑑」を立ち上げる。プロジェクトデザイナー/知財ハンターとして分野を超えた未来実装を続けている。J-WAVE(TOKYO MORNING RADIO / INNOVATION WORLD)にてコメンテーターを担当。Red Dot/One Show/D&AD/ACCなど国内外での受賞歴多数。2023年 Forbes Japan NEXT 100に選出。著書に、オープンイノベーションのメソッドをまとめた『妄想と具現 未来事業を導くオープンイノベーション術DUAL-CAST』(日経BP)。プロジェクトリーダーのためのポッドキャスト番組「Project Design Room」を配信中。

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