本ローンチから1年でInstagramやTikTokで累計約1億回再生されている縦型ショートドラマ「あの卓が気になる」。居酒屋のカウンターに座る仲良しの女性3人組が、仕事や恋愛、最近のトレンドなど、日常のあらゆるトピックについて、クスッと笑えるような会話劇を繰り広げる約1分半の動画シリーズだ。特に20〜30代女性を中心とした視聴者から多くの支持や共感を集めており、SNSの累計フォロワー数は10万人を超える(2026年3月現在)。
IP事業を強化するContentAge(コンテンツエイジ)と映像制作会社のsukima(スキマ)が2025年春に共同事業化した。現在は、日清オイリオグループ、日本ロレアル、再春館製薬所といった著名企業のタイアップ案件が相次いでいる。と、ContentAgeの扇英資氏と監督の吉田安氏(sukima)に、取り組みの成果や今後の展望について聞いた。
縦型動画市場で「会話劇」というブルーオーシャン
「メールのCCが下手な後輩を育てない」
「事実を言ってるだけなのに悪口に聞こえちゃう時あるよね」
「1人で生きていける女の方が絶対モテるべきだろ」
女性は、多種多様なジャンルのトピックを会話のネタにすることが多い。「あの卓」ではその特性を活かし、普段からトレンドをキャッチした多様な会話劇を投稿し、それが再生数と人気につながっている。
「解像度の高いコンテンツ」は熱量を生むきっかけに
扇氏は当時、新たなIPの形としてショートドラマ領域に注力していた。「確かな制作力と独創性を持つパートナー」を探していたという。その中で最も重視していたのが、「熱源を生み出せるコンテンツであるか」という点だ。
この考えの根底には、同社が提唱する消費行動モデル「5E MODEL」がある。「5E MODEL」とは、「Encounter(出会う)」「Empathize(共感する)」「Engage(信頼を深める)」「Enter(参加する)」「Express(共有する)」の5つのフェーズで構築される、SNS時代の消費行動モデルだ。最初の出会いを作るには、「熱源」が需要であり、熱源を生み出せるコンテンツは、視聴者の深い共感や信頼を醸成し、最終的に購買行動やファン化を促すと考えている。
扇氏は「解像度が低いと、『作られた感』『嘘っぽさ』が伝わってしまいます。一方で、『解像度の高い』コンテンツは、共感を引き出し、コメント欄を活性化させる。これこそが熱源を生む鍵だと考えています。」と話す。
また、ショート動画市場はドラマコンテンツが溢れているが、ツッコミどころの多いコメディコンテンツが再生を取りやすいこともあり、男性視聴者中心のアカウントが多い。その点、視聴者の79.2%が女性※となるほど女性の共感を集めるアカウントは少なく、プロモーションの「場」としてもいいコミュニケーションが生み出せると確信したという。
※計測期間:2026年2月16日~3月17日(Instagram)
ContentAge 執行役員 扇英資(おおぎ・えいすけ)氏
広告代理店を経て、化粧品会社で新規事業立ち上げに従事。2019年にメディア事業子会社をMBOして独立後、2022年にプライム上場企業へ売却しグループ入りを果たす。総フォロワー400万人超のメディア事業やD2C事業の立ち上げなど、事業グロースの経験を経て、2025年1月よりFOR YOU(現ContentAge)執行役員に就任。これまでの知見を活かし、事業基盤の強化と非連続な成長の実現にコミットする。
監督の吉田氏は、特定のターゲットを戦略的に選定するのではなく、まず「自分自身が最も解像度高く描けるものは何か」を追求した。その結果、「自分と同世代(20〜30代)の女性が、お酒を飲みながら繰り広げる会話」をコンテンツに決めた。
「縦型動画の多くは展開が早く、カット割りが多いのが特徴です。会話劇をメインとした縦型動画は当時、今よりも少なく、競合がほとんどいませんでした」と吉田氏は振り返る。配信開始後、爆発的な拡散が起きたわけではなかったがジワジワとファンを増やしていき、業界内でも認知が高まっていきました。
「あの卓が気になる」監督 吉田安(よしだ・やす)氏
1999年生まれ。ディレクター。sukimaに所属。新卒でバラエティ番組のADとして2年間制作会社に勤めたのち「もっとコントが作りたい」と現在の会社へ。ショートドラマ『あの卓が気になる』(監督)のほか、ドラマ『ラブミーフォローミー!』(監督)、『宇垣美里 妖怪 全てエッセイに書いてやるからな女』(ディレクター)、バラエティ『私のバカせまい史』(ディレクター)他、東京03単独やバカリズム案のライブ編集、東京03単独幕間の制作などを行う。
熱量の高い「ブランド担当者」がタイアップ企画を後押し
事業化から約1年、企業とのタイアップ案件は急速に増加している。インフルエンサーマーケティングの指標でいえば、「マイクロアカウント」に該当する規模感でありながら、食品、アパレル、化粧品、エンタメなど多様なジャンルで実績を上げている。この背景には、タイアップ企業の担当者自身の「熱量」も関与しているという。
@anotaku_knnr ストレスが肌を荒らすなら、肌荒れを先に治してストレス社会を終わらせる。 #ショートフィルム #ショートコント #ショートドラマ #居酒屋 #あるある #あの卓が気になる #あの卓 #PR #TAKAMI #タカミスキンピール ♬ オリジナル楽曲 – あの卓が気になる
ターゲット世代である20〜30代のブランド担当者が以前から認知しているケースが多いほか、個人的に熱心に視聴している担当者も多いという。
吉田氏は「担当者が『このコンテンツのファンなんです』と熱を持って話していただけることが、社内での企画採択を強力に後押ししています。届けたい層に確実に届いているという手応えを、ダイレクトに実感できています」と明かす。
クリエイティブの鮮度と効率を両立する「サステナブル」な制作
また、タイアップ企画にもかかわらず、広告であることを気にしていない視聴者も多いのが特徴だ。この要因は、作品が持つ独自のフォーマットにある。
通常のコンテンツにおいて、実在の有名人を会話に出したり、具体的な商品やコンテンツ名を会話の中に織り交ぜたりと、意図的に固有名詞を多用してきた。
このフォーマットにより、タイアップ案件も日常会話の延長線上の出来事として、自然に落とし込むことができている。「認知の壁(知っているからこそ自分ごと化されず、それ以上興味を持たずに情報がブロックされる状態)」に対しても、会話の文脈で自然と受け入れられる。この点こそが、タイアップにおける最大のメリットともなっている。
固定のセットでの定点撮影を基本としているため、脚本の合意さえ得られれば、撮影現場での「想定と違う」といった齟齬や大幅な手戻りが発生しにくい。「撮影後、スムーズに配信できる点も映像コンテンツの中では珍しい」と扇氏。この安定した制作構造が、企業側の安心感にもつながっている。
成功を支えるもう一つの要因は、脚本チームの体制にある。作家自身に一定のファンがついている人物や、特定のコミュニティから支持を受けている人物を誘い、チームを編成。この体制により、各話のクオリティが担保されるだけでなく、作家自身が持つ発信力を活かし、初期における広がりを作り出すことができた。
毎月の企画選定においては、単なる再生数狙いの「バズり」だけを追わない編成を徹底している。再生回数がそこまで回らないと分かっていながら、3人の可愛らしさを表現することをメインとした企画なども月に数本入れることで、キャラクターの雰囲気や世界観を保っている。
新しいエンターテインメントの形を目指す
「従来の広告であれば、リーチしているようでも見てもらえないリスクがある。しかし、コンテンツとして主体的に楽しまれるものであれば、広告でも好意的に受け取られると思います。SNSにおいては、コンテキストが重要であり、言いたいことを言うのでなく、いかにコンテキストの中に馴染ませるかがきちんと伝わるカギになります。同作がその有効な手段であることを、今後はデータによって証明していきたいです」と扇氏。
今後は「深度」と「広がり」の2軸を同時に強化していく。エンゲージメントが高いコンテンツほどプラットフォームのアルゴリズム上で評価され、結果的に広範なリーチに繋がるため、スピンオフ企画の配信や、イベント開催を通して、より熱量の高いファンベースを構築する。ゲスト出演企画などによる新規層への接点拡大も目指す。
関連記事
お問い合わせ
株式会社ContentAge
URL:https://contentage.co.jp/
所在地:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-19-15 ウノサワ東急ビル3階




