電通・新社長、国内広告市場に比例し業績見通し強気 ネット広告4兆円超は「追い風」

4月1日付で就任した電通の松本千里新社長は同日午前、入社式後に報道陣の取材に応じ、持株会社の電通グループが2025年12月期に3276億円の最終赤字となったことについて、「正確に言うとのれん代の減損」と説明した。そのうえで、日本事業については「非常に好調なモメンタム」であり、2025年の日本の総広告費が4年連続で過去最高となったことを踏まえ、「市場環境としてもまだまだ十分に伸ばせる」との見方を示した。

電通グループの2025年12月期決算では、主に米州とEMEAでののれん減損により、親会社株主に帰属する損益は3276億円の赤字となった。一方、日本事業はオーガニック成長率6.2%で、売上総利益は5年連続、調整後営業利益は2年連続の過去最高を更新している。今回の取材でも松本社長は、日本事業の好調な流れを「決して崩すことなく、より伸ばしていきたい」と述べた。

電通の新入社員入社式「Day One Ceremony 2026」で歓迎メッセージを送る松本社長

電通の新入社員入社式「Day One Ceremony 2026」で歓迎メッセージを送る松本社長

国内の広告市場に合わせて電通も伸長

背景にあるのが、国内広告市場の拡大だ。電通が3月5日に発表した「2025年 日本の広告費」によると、総広告費は8兆623億円で4年連続の過去最高となった。中でもインターネット広告費は4兆459億円と初めて4兆円を超え、総広告費に占める構成比も50.2%と初めて過半数に達した。

このデジタルシフトについて松本社長は、インターネット広告費が過半を占めたことを「大きくニュースでも取り上げられました」としつつ、「我々はネット広告市場においてもシェアトップなので、これは我々にとっても非常な追い風」と語った。総合広告会社にとって、従来型モデルの逆風というより、むしろ成長機会として捉えていることがうかがえる。

クライアントのバリューチェーン全体で求められる

新社長就任前はChief Client Officerとしてクライアントと向き合ってきた立場からは、広告主の相談内容そのものが変化しているとの認識も示した。松本社長は、クライアントからの相談は「広告のみならず」、BX、DX、R&D、HRへと広がっており、「クライアントのバリューチェーン全体」に及んでいると説明。広告出稿やクリエイティブ制作の一部にとどまらず、事業成長全体に関わる役割が電通に求められているとの見方を示した。

バリューチェーンが広がり、クライアントの接続する部署も変わる。ともするとコンサルティング会社と競合するが、松本社長は「上流から下流まで」、つまり戦略から実行まで「最後までやり切る」点が強みだと説明した。従来の広告領域から、より広い経営課題や事業課題へと支援範囲が広がる中でも、構想だけで終わらせず実装まで伴走できる点を競争優位として示した。

advertimes_endmark


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事