経産省、三菱UFJ銀行を事業者採択 映画・アニメの資金調達環境整備へ

経済産業省のコンテンツ産業支援が、個別作品の資金調達インフラ整備にも踏み込む。三菱UFJ銀行は3月31日、経産省の「令和7年度補正コンテンツ産業成長投資支援事業(資金調達環境整備に関する調査研究事業)」の事業者に採択されたと発表した。政府が掲げる「日本発コンテンツの海外売上高を2033年までに20兆円へ拡大する」という目標の実現に向け、官民投資を加速させる流れの中で、映画やアニメの製作資金をどう呼び込むかが具体策のひとつとして動き出した。

背景にあるのは、経産省がこのほど示したコンテンツ産業戦略の改定方針だ。3月27日のエンタメ・クリエイティブ産業政策研究会では、コンテンツ産業を日本の「外貨の稼ぎ頭」に育てる方針のもと、官民一体で「売上3倍、投資3倍」を目指す骨子案が提示された。IPをマンガ、アニメ、ゲーム、実写、音楽、グッズへと多角展開する「IPの360度展開」と、国内で創って世界に届ける仕組みづくりを柱に、夏ごろには分野別・バリューチェーン別の目標を盛り込んだ「官民投資ロードマップ」の策定も予定している。今回の採択は、そうした大きな政策パッケージの中で、金融面の基盤整備を担う座組といえる。

政府予算を252億円から589億円まで倍以上に拡大。経産省としては、投資促進税制の創設も予定している。大胆な財政支援により、民間投資を促進していく。人材投資・IP投資双方からコンテンツ産業の活性化を図る(経済産業省「第18回エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」資料より一部抜粋)

三菱UFJ銀行によると、2024年時点で日本発コンテンツの海外売上は約6.0兆円と自動車産業に次ぐ規模に達している。一方で、実写映画やアニメでは、海外展開を前提とした大規模作品ほど製作費が膨らむにもかかわらず、日本では融資を活用した資金調達事例が少なく、海外に比べて製作費の規模が小さいことが課題になっているという。そこで本事業では、大規模作品の製作を支える「フィルム・ファイナンス」の基盤整備を進める。

具体的には、実写映画とアニメ作品の製作融資を検討する際に必要となる「価値評価」と「完成保証」の手法を、日本の実情に合わせて設計する。国内外の実例データを収集し、価値評価や完成保証に関する複数のモデルを作成した上で、最適なモデルを検証するほか、融資申請の受付から審査、結果通知、契約書案の作成まで、一連の実務プロセスについても実証を進める。

推進にあたっては、GEM Partners、東京海上日動火災保険、Film Solutions、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと連携する。作品価値の見立て、保険・保証、映像制作実務、制度設計といった各領域の知見を持ち寄り、モデルの実効性を高める狙いだ。経産省が進めるIP360や官民投資ロードマップが「コンテンツ産業への資金流入をどう増やすか」という政策設計だとすれば、今回の事業はその中でも、とりわけ映画・アニメ分野で民間金融を呼び込むための具体的な仕組みづくりに位置付けられる。

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