コンテンツ産業の海外展開を官民で押し上げる動きが、音楽領域でも具体化してきた。ソニー・ミュージックエンタテインメントは4月1日、ユニバーサル ミュージックと共同で、アジア地域における音楽フェスティバル事業の企画・運営を目的とした合弁会社「NINE BY NINE」を同日付で設立したと発表した。事業内容には、アジア地域での音楽フェスの企画・制作に加え、日本のアーティストの海外展開支援やプロモーションも含む。第1回のイベントは2027年の開催を予定している。
この動きは、経済産業省が進めるコンテンツ産業政策の流れとも重なる。経産省は、2033年までに日本発コンテンツの海外市場規模を20兆円に拡大する政府目標の実現に向け、2025年6月に「エンタメ・クリエイティブ産業戦略及びアクションプラン5ヵ年計画」を策定。現在は、戦略改定骨子案のもとで官民投資ロードマップや「IP360」の高度化を進めている。政策の基本方針としては、「日本で創り、世界に届ける取組を支援する」ことを掲げ、IP・人材・デジタルへの国内投資に加え、国際流通網やファンダム形成への海外投資も支援対象にしている。AdverTimes.ではこの一連の戦略改定骨子案を「ものがたり大国5ヵ年計画」として報じている。
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音楽分野は、まさにこの戦略の重点領域のひとつだ。経産省が3月26日に公表した速報値によると、日本の音楽産業の2024年の海外収入は448.6億円、海外売上は1239.5億円だった。訪日外国人による消費を含めると、海外収入は725.8億円、海外売上は1516.7億円に広がる。さらに3月27日の研究会資料では、音楽分野の海外売上目標を2033年に5000億〜1兆円と仮置きし、複数社による海外ライブやアニメイベントと連動した海外ライブ、海外向けの高品質なミュージックビデオ制作、流通プラットフォーム上でのファンダム形成とECによるマーチャンダイジングの強化などを重点施策として示した。
音楽産業の海外売上目標や海外展開の戦略図(経済産業省「第18回エンタメ・クリエイティブ産業政策研究会」資料より)
ソニー・ミュージックエンタテインメントも、市場環境の変化として、日本発アニメやSNS起点のヒット、日本人アーティストの海外ツアー成功によって、日本の音楽がこれまで以上に世界から注目を集めていると説明している。そのうえで、音楽体験を目的としたインバウンド観光が活況を呈するなか、世界のオーディエンスに向けて日本の音楽シーンを発信する場の重要性が高まっているとし、両社の知見やグローバルネットワークを生かして、日本発の音楽フェスをアジア地域を中心に共同開催していく方針を打ち出した。現地ファンと日本のアーティストの接点をつくり、日本の音楽の中長期的な成功を支援する狙いだ。
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