トイレットペーパー騒動の二の舞か、繰り返される “品薄パニック” 供給不安をあおる “無責任メディア” に高市首相と業界団体が反論

石油やナフサの供給不安を強調する報道や情報が広がる中、政府や業界団体が相次いで声明を発している。高市早苗首相は4月5日、自身のXで一部報道番組の内容に反論した。石油化学工業協会や石油連盟も在庫水準や代替調達の状況を説明しているほか、日本LPガス協会や日本家庭紙工業会も、それぞれの分野で供給への影響や見通しを発信している。

一部報道に反論する高市早苗首相

コロナ禍では、トイレットペーパーを巡る誤情報や不安をあおる報道が買い占めや転売を招き、店頭から商品が消える事態も起きた。不安が広がる局面では、広報による正確な情報発信の重要性が改めて浮かび上がる。

高市首相がXで反論したのは、ナフサの供給について「日本は6月には供給が確保できなくなる」とした報道番組の指摘である。これに対し高市首相は、すでに調達済みの輸入ナフサと国内での精製2カ月分に加え、ポリエチレンなどナフサから作られる中間段階の化学製品、いわゆる川中製品の在庫2カ月分があり、少なくとも国内需要4カ月分を確保していると説明した。

国内でのナフサ精製の継続に加え、中東以外からの輸入増や川中製品の在庫、新たな海外調達によって供給は維持できるとして、高市首相は「6月には供給が確保できなくなる」との報道を事実誤認だと否定した。国民生活と経済活動への影響を防ぐため、安定供給の確保に取り組む考えも示した。

トイレットペーパーの事例から見るパニックを防ぐ広報の重要性

2020年のトイレットペーパー騒動でも、誤情報と過熱報道が買い占めを招いた。丸富製紙は公式SNSで倉庫在庫や出荷の様子を発信し、供給そのものは維持されていることを説明した。イオンでも大量陳列を通じて在庫の厚みを可視化し、消費者の不安抑制につなげた。需給不安が広がる局面では、広報が事実を具体的に示すことの重要性がうかがえる。

今回の石油関連でも、業界団体を中心に供給不安の払拭に向けた発信が強まっている。石油化学工業協会は3月17日、「ペルシャ湾情勢に関する石油化学工業協会コメント」を公表した。

同協会によると、原料となるナフサの国内消費量は、中東地域からの輸入が約4割を占める一方で、中東以外からの輸入が約2割、国内生産が約4割となっている。ペルシャ湾をはじめとする中東地域で紛争が拡大するなか、原料供給の観点から高い緊張感を持って注視しているとしつつも、現在の国内在庫については、石油化学製品全体で約2カ月分、ポリエチレンやポリプロピレンといった主要製品では国内需要の3カ月半から4カ月程度を確保しており、直ちに供給困難となる状況ではないとの認識を示した。

あわせて、会員各社がペルシャ湾以外の地域からのナフサ代替調達の確保や、国内でのナフサ調達の継続に取り組んでいることも説明した。今後も国や会員会社と密接に連携しながら、情報収集と必要な措置を徹底し、安定供給に必要な対応を進めるとしている。

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