中村洋基さんのアドタイ人気コラム「迂闊鬼十則」が待望の書籍化!『計画しない人はうまくいく 帳尻合わせのキャリア論』として、4月14日に発売されます。その発売を記念し、書籍原稿の一部を本コラムにて先行公開いたします。

4月14日発売、予約受付中!
『計画しない人はうまくいく 帳尻合わせのキャリア論』
(中村洋基著、定価2,200円+税)
特殊なスキルもなく、偏差値35、就職活動は落ちこぼれ。そんな若者が、なぜ広告クリエイターとして300を超える賞を獲得し、何社も起業できたのか?そのコツを、見る前に跳び、とにかく大量行動・大量失敗しながら修正していく「帳尻合わせのキャリア論」として解説。キャリアに迷っている人のための、「考えるため」ではなく「動くため」の一冊。
未知の状況に跳び込むことを受け入れられない人の一部は、こう語る。
「理想ではわかってるんですよ。『どんどん跳び込んで、何でもやってみればいいじゃん』って。だけどお金の問題もあるし、そう身軽に動けないですよ」
などと語る人に限って、資産運用をやっていない。
クリエイティブや制作会社界隈の人を見ていると、金銭感覚に疎く、投資や節税をしない人が多い。
「自分、クリエイティブなんで、カネ勘定とかちょっと違うんで」
わかる。マリアナ海溝より深くうなずく。
たしかにクリエイターたるもの、あまりケチだと明らかにダサい。
しかし、そういった方にかぎって、ワリカンがめちゃくちゃ細かかったり、深夜に飲みにいくと何度もATMに走ったり、ちょっと金を貸してくれないかと無心したりと、見ているこちらが悲しくなるような「貧すれば鈍する」ムーブがあったりする。
なので、投機や投資じゃなくて「資産運用」レベルでいいからやっておきましょうよ、というのがぼくの提案だ。
知らないうちに世界から見てド貧乏になっているのに、この国の金融リテラシーは低すぎる。
「だって、何から学べばいいかよくわからないし」
ううむ。たしかに。
「クリエイターがやるべき投資と節税」だけで本が書けちゃうくらい詳しくなったが、それはまた次作。
ただ、こここそまさに、先に失敗して跳び込むこと、若いうちからの長期投資による複利がメッチャ効く領域なのだ。
ぼくの界隈には有名な「中村ジンクス」というのがある。
中村が株を買うと確実に下がるという、いわゆる逆神(ぎゃくしん)というやつである。
以前の会社の部署で、遊びで株式投資を始めてみようという素人投資コミュニティが立ち上がった。
「ハイテク株なるものを始めてみんとす〜」
「むむっ。お主やるな。ならばこちらはインド株の口座を開いてみた。知らんだろう」
「ほほう。私は原油の先物などというオトナなものに手を出すぞなもし」
ちょっと聞きかじった投資商品を探して、お遊び程度の金額を入れて、アップダウンを楽しむ。当時はSNSの株コミュニティなどもまだまだなく、いま考えると笑っちゃうような子供の遊びであった。
そんな中、ぼくがお試し気分で鼻歌まじりにポチリと買った株が、ライブドアである。
2005年、ホリエモンこと堀江貴文氏がニッポン放送買収で連日テレビを騒がせていた。ライブドアの株は大量の株式分割を行っており、500円でも買える流動性になっていたので、試しにちょっと買ったら、連日ストップ高になった。
「ぼ、ぼくちん株うまいかも!?」
気が大きくなって、給料の5倍くらい買い増したところ、東京地検特捜部がライブドアを強制捜査するライブドア・ショックが起きた。
ライブドアの株は、タワー・オブ・テラーのごとき急降下を開始した。
体験したことのある方はご存知かと思うが、大暴落でストップ安に張りつくと、売りたくても売れないのだ。
毎日、月額給与分が減っていく。売り注文を出しても売れない。明日必ず崖から落ちることがわかっているが、死の行進を続けるレミングのような気持ちだった。
ぼくは崩れ落ち、咆哮した。
株コミュニティの仲間は、連日ライブドアの株価とぼくの表情を見くらべては、機関銃のように大爆笑した。
翌年、ほとぼりが冷めた。ひるがえってみると、ライブドア・ショックは歴史的事件、もらい事故のようなものだ。
「また株を再開してみんとす〜♪」
などと紀貫之ばりに、いくつかの株をポチリポチリと買った瞬間、またすべての株が大暴落した。ぼくは盛大にずっこけた。
サブプライム問題という事件だったが、頭の悪いぼくらのコミュニティでは、何度解説を読んでも問題の本質が理解できず、
「中村が株を再開したのが問題なのではないか」
という説が浮上した。
また連日、すべての持ち株が10 %ずつ下がっていく。ぼくは阿鼻叫喚の悶絶で、城本クリニックのCMのごとく畳の上を転がりまわる。
このときは100万くらい負けた。
城本クリニックのCM