アクティオが宣伝会議賞で気づいた「自社の真の強み」 中高生の視点が引き出した、ロゴの「I」に込めた思い

BtoB企業にとって、独自の事業価値を若年層にどう伝えるかは共通の悩みだ。建設機械レンタル大手の「アクティオ」も、1991年以降、提唱している「レンサルティング」という自社独自の言葉に頼りがちな現状に課題を感じていた。そこで同社は、宣伝会議賞 中高生部門に協賛。「レンサルティング」という言葉を使わずに、自社の魅力を表現するという課題を提示した。予想を上回る応募作品から、同社がどのような気づきを得て、組織にどのような変化をもたらしたのか。広報部の成澤幸子氏に話を聞いた。

社内では見つけづらい 中高生ならではの視点への期待

アクティオは、建設会社などに向けた建設機械のレンタルで高いシェアを誇る。広報部の成澤氏は「業界内ではある程度知られているが、若い人たちの認知は依然として低い」と現状を語る。同社に広報部が正式に発足して約5年。採用活動を見据えた学生へのアプローチはもちろんのこと、小学生などのより若い世代に対しても、工場見学会などを開き自社の社会的な役割を伝えてきた。機械の貸し出しにとどまらず、災害発生時には全国から迅速に機械を調達するなど、社会機能を支える企業としてのブランド価値をどう伝えていくかが大きなテーマだ。

同社はレンタルにとどまらず、顧客の課題を解決する提案(コンサルティング)を組み合わせた独自の概念「レンサルティング」を掲げている。2006年に商標登録して以来、長年にわたって提唱し続けてきた重要なキーワードだ。しかし、成澤氏は「広報活動において、どうしてもレンサルティングという言葉に頼りがちだった」と明かす。自社や事業のアピールには、すでにある固有名詞や社内で定着している言葉を無意識に使ってしまうことが多い。そこで、今回の宣伝会議賞ではあえて「レンサルティングという言葉を使わずに、その魅力を表現する」という課題を設定した。中学生や高校生という、自社の事業に先入観のない世代の視点を通すことで、面白い表現や新しい角度の言葉が生まれれば意義があると考えた。

課題は「建機レンタルのアクティオの魅力を伝えるアイデア」

課題は「建機レンタルのアクティオの魅力を伝えるアイデア」

予想以上の熱量と本質を突く言葉の数々

当初、建設機械のレンタルというBtoBの事業内容を、中高生がどこまで理解してくれるのかという不安があったという。しかし、ふたを開けてみると予想以上の応募が集まった。「中高生がここまで深く考え、作ってくれていることに驚いた。Webサイトを隅々まで読み込み、アクティオがどのような事業を展開しているのかを理解しようとする姿勢が伝わってきた」と成澤氏は語る。圧倒的な熱量を持って課題に向き合う中高生の姿が見えてきた。

集まった作品を審査する中で、広報部のメンバーは多くの気づきを得た。中高生のみなさんならではの、素直で真っ直ぐな言葉の数々がとても新鮮に響いたという。中でも成澤氏がハッとさせられたと語るのが、「私たちが貸したかったのってアイデアだったんだ」という趣旨のコピーだ。機械を貸し出しているという物理的な事実を超えて、顧客にとって最適な方法を提案する「レンサルティング」の本質を見事に突いていた。「自分たちなら思いつかない発想でありながら、非常に分かりやすく、すっと腑に落ちた」と成澤氏は振り返る。社内の人間が当たり前だと思っていることを、別の角度から言語化してもらうことで、自社の真の価値を再確認する機会となった。

ロゴの「I」に込められた意味の再発見と今後の展開

広報部員による白熱した選考の結果、最終的に選ばれたのは「愛が、長ーーい会社。」というコピーだった。一見するとシンプルな表現だが、実は同社の根幹と深く結びついている。アクティオのアルファベット表記である「AKTIO」のロゴは、「I」の部分が長くデザインされている。これには、力強い発展性、そして限りなく挑戦するという意味が込められている。成澤氏は「言われてみれば確かに『I(愛)』が長いのだが、普段の業務の中でそこに着目して表現を考えたことはなかった。当たり前すぎて見落としていた部分だった」と語る。

協賛企業賞に選ばれた作品

協賛企業賞に選ばれた作品

アクティオのロゴ。「I(アイ)」が長いのが特徴だ

アクティオのロゴ。「I(アイ)」が長いのが特徴だ

この斬新なアプローチは、社内でも好評で、中高生のみなさんの柔軟な発想が、 ロゴデザインに込めた想いと見事にリンクし、私たちにとって大変嬉しい刺激となったという。今回の宣伝会議賞を通じて得られた言葉や視点は、同社の今後のプロモーション活動に確かな変化をもたらそうとしている。選ばれたコピーについては、まずは業界紙での広告展開を視野に入れて準備を進めている段階だ。

自社の魅力を伝える際、これまでは社内の視点やプロの提案に頼ることが多かった。しかし、今回のように多様な生活者、特に若年層の視点に触れたことで、コミュニケーションの幅は大きく広がった。成澤氏が「社内だけでは固まってしまいがちな発想を打ち破り、一歩踏み出せて本当に良かった」と語るように、外部の純粋な視点を取り入れることは、企業の広報戦略においてかけがえのない財産となりうる。

※※※広報部の成澤幸子氏(「宣伝会議賞」贈賞式にて)※※

広報部の成澤幸子氏(「宣伝会議賞」贈賞式にて)

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「宣伝会議賞」は月刊「宣伝会議」が主催し、広告表現のアイデアをキャッチフレーズまたは絵コンテ・字コンテという形で応募いただく公募広告賞です。雑誌『宣伝会議』の創刊100号を記念して1962年に始まり、以降、若手コピーライターの啓発、ならびに人材の発掘・育成やコピーライターの意識の向上を目的に開催しています。現在は「コピーライターの登竜門」として知られ、日本最大規模の公募型広告賞の一つです。

協賛企業が提供する広告課題に対して、キャッチフレーズや企画アイデアを広く募集する事で、企業のマーケティング・ブランディング施策におけるクリエイティブ価値の創出機会として評価されています。審査員は広告界の第一線で活躍するコピーライターやCMプランナー、クリエイティブディレクター約100名が務めます。

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