※本記事は月刊『宣伝会議』2026年10月号に掲載しています。
ビルや工場の空調設備工事および衛生工事を行うテクノ菱和。1949年設立の同社は、ゼネコンや工場を持つメーカーを顧客とするBtoB企業であり、建物の「空気」と「水」にまつわる設備の設計からメンテナンスまでを担う。そんな同社が2026年5月よりテレビCMの放映を開始した。これまでビジネスパーソン向けの新聞広告などは出稿してきたが、広く一般向けの大規模なコミュニケーション施策は実施していなかった。
転機となったのは、ここ5年ほどの経営環境の変化だ。円安などを背景に国内への設備投資が拡大しており、工場のクリーンルームなど精密な空調を得意とする同社の業績は好調に推移。それに伴い人手不足が深刻となり、採用の強化が急務となったのだ。
「営業活動の側面だけで言えば、業界内での認知度があれば十分という認識でした。しかし、採用強化に向け、求職者に対して社名認知を拡大する必要が生まれてきたことから、コミュニケーション施策を実施することになりました」と、CSR推進本部CSR推進室長の関口善教氏は、同社初のテレビCM放映に至った理由について説明する。加えて、今回のコミュニケーション施策には社員やその家族、取引先のエンゲージメントを高めたいという狙いもあったという。
テレビCMという手段を選んだのは、採用ターゲットである若年層はもちろん、親世代への影響力も考慮しており、競合他社のテレビCM活用状況も踏まえての決断だった。テレビCMの制作にあたっては、コアターゲットとなる20代にメッセージを届けるため、社内の若手を集めたプロジェクトチームを結成し、企画を進めていった。
社名認知を高めることを狙い、起用タレントとして名前が挙がったのは、お笑いコンビ「空気階段」だった。若者人気が高いのはもちろん、コンビ名に「空気」が入っており、メンバーのひとり、水川かたまりさんの名前には「水」。空気と水を扱う同社の事業との親和性も高いとの理由で、起用が決まった。
「当社の経営陣の中には、今回のプロジェクトで初めて空気階段さんを知ったという人もいたのですが、個性的なキャラクターでかつ当社に親和性のあるタレントさんの起用によって、インパクトのあるCMになると考えました。短い尺では事業の中身を伝えきるのは難しいので、今回のCMではまずは社名を知ってもらうことを目的にしました」と関口氏は戦略を語る。
CM「空気ソムリエ」篇。
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