講演者
- 秋山 芳生(株式会社アイスタイル 事業戦略室 室長)
事業の柱となる「@cosme」から得られるデータベースを元に、様々な事業展開を行う同社の
ID、Point戦略について、同社事業戦略室 室長 秋山芳生氏が講演した。
「@cosme」は、月間訪問者数990万人、会員数290万人、掲載商品数は24万点、口コミ件数1100万とコスメ・美容のクチコミサイトとしては最大規模をほこるメディア。多くの「@cosme」ユーザーに、リアル店舗「@cosme store(アットコスメストア)」やECサイト「cosme.com(コスメコム)」、サロン予約ポータルサイト「ispot(アイスポット)」などの各サービスを効率的に利用してもらうため、アイスタイルでは共通のIDとポイントで全サービスをつなぐ仕組みづくりを進めている。
各サービスのハブとして構築されたのが「おトクdeキレイ」。
「楽しくおトクにキレイになれる」をコンセプトに、各事業のポイント施策やクーポン、プレゼントキャンペーンなどの美容に関する情報を毎月1000件ほど紹介するプラットフォームサイトだ。
ユーザーは「おみくじ」や「スロット」といったインスタントウィン型のゲームにより10枚で1ポイント(1ポイント=1円として商品値引きが可能)に交換できるコインを得られる。ゲーム終了後に出てくるバナーをクリックすることによりコインを付与する仕掛けにしたことで、同社の各事業に送客する役割も担っている。
「おトクdeキレイ」で獲得できるコインは、広告売上が原資となっており、コインを付与し、ポイントを使ってもらうことで購買活動を促進しBtoC領域の売り上げ拡大につなげることを狙いとしている。実際、おトクサイト経由でのコスメコムの売上はサービスを開始した昨年4月より増加傾向にある。
秋山氏は、「おトクdeキレイ」を活用した以下四つのプロモーション事例を紹介。
①5万人に有効期限が短いポイントを付与し、失効アラートによる購買喚起ができるかを検証。
②ポイントを限定クーポンに交換。購買単価が上がるか検証。
③SNSを利用しプレゼント施策をゲリラ告知。アットコスメストアに来店するかを検証。
④ポイントを「店頭でのサンプル引き換え券」に交換。来店するかを検証。
中でも④は、配られたクーポンにより500人中80%以上の人が実際に店舗に来店、CVRも約50%という結果となった。
O2Oのプロモーションで人が動く仕組みについて、秋山氏は次のように話す。
「企画展開で重要なことは、最初にユーザーに関与してもらうこと。例えば、④のようにポイントを貯め、サンプル引換券に交換するといった関与をしてもらうと、その報酬を得るため来店しようという気持ちになります。私たちは、企画に参加してもらう前に、行動・気持ち・時間・お金を使ってもらうことを“サンクコスト”と呼んでいます。サンクコストを少しでも使ってもらうことで『●●したんだから』、という気持ちが働きます。サンクコストを回収する先に、“購買”や“アクション”という元々の狙いを置くことで実際に人は動いてくれるということを実感しました。O2Oを行う上では、まずは小さく参加させて大きなアクションをとってもらうことが重要になってくるのではないかと考えます」。
現在はアットコスメストアのみでの実験となっているが、ドラッグストアやデパートのカウンターなどの他店舗でのO2Oプロモーションのトライアルも行いながら、色々な仕掛けをつくっていきたいと秋山氏は話した。
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