夏と言えば花火大会。だが、昨今、物価や人件費の高騰、人手不足などの影響で縮小・廃止する花火大会が増えており、資金や人手の不足から、全国の24.1%の花火大会が過去5年以内に中止または規模縮小された。一方、東京都中央区と隣接する港区は、今年10月、共催で11年ぶりに花火大会を復活させる。諸条件が厳しいなかで採用された共催という形は「花火大会を継続する可能性を高める」と期待されている。
2015年に開催された「東京湾大華火祭」(写真はいずれも中央区提供)
「4年越しのラブコールがかなった」と話すのは、花火大会の復活のために隣接区に共催を呼びかけてきた中央区地域振興課長の平川康行氏。晴海埠頭から打ち上げられていた同区主催の「東京湾大華火祭」は1988年から続いていたが、東京五輪に向けた晴海エリアの再開発のため、2015年を最後に中止に。その後も、新型コロナの感染拡大で開催が難しく、2022年頃から再開の術を模索し、隣接する港区や江東区に協力を呼びかけていた。しかし、費用を試算してみると2015年と同規模の大会を開催するには2倍かかることが発覚。開催費用の多くは会場の設営や警備が多くを占め、花火の打ち上げ数を減らしてもそれほど圧縮はできない。その花火の費用も、ウクライナ侵攻で火薬の価格が上がったことでかさんだ。平川氏は「一度スケールダウンさせると、スケールアップは難しくなる。何より、11年前の記憶がある方にとっては残念な大会になってしまうおそれもある」と苦境を語る。
長く悩んだ末、区制80周年となる2026年には記念事業として中央区単独でも開催することを決定。港区も同じく80周年を迎えるとして参画してくれることになり、共催が決まった。行政によって財政状況や区民サービスなど注力する点が異なるため、自治体をまたいでの共催はなかなかにハードルが高い。また、今年開催できたからといって来年も開催できるとは限らない。それでも、共催であれば開催継続の可能性は高まる。「花火を楽しみにしてくださる方が多く、目に見えない費用対効果は大きい」と平川氏は話し、まずは今年の大会を成功させ、費用などの面でも来年の開催の道を開くことを目指している。
