日本広告審査機構(JARO)は7月23日、2025年度の広告審査に関する統計を発表した。苦情の受付件数は前年度から増加して1万2589件となり、コロナ下の2020年度(1万1560件)を超えてJARO設立以来の過去最多を更新した。称賛や照会などを含めた総受付件数は1万4723件で、2020年度(1万15100件)に次ぐ規模となった。
苦情が急増した主な要因は、インターネット上の不快な広告表現や掲載手法に対する意見の急増だ。特に6~7月にかけては性的な広告表現を巡る社会的な関心の高まりや報道がなされたことで「広告の苦情はJAROへ」との認識が広がり、性的表現のみならず「気持ち悪い」「怖い」といった表現全般への苦情が急増する結果となった。苦情のピークは上半期で、10月以降は徐々に落ち着きを見せている。
電子コミックや医薬部外品の広告に不快の声多数
媒体別で見ると、「インターネット上の広告」に対する苦情が前年度比1.7倍と大幅に増加し、初めて全体の6割(60.9%)を占めた。性的な広告への苦情の8割以上もネット広告に集中している。一方、2番目に苦情が多かった「テレビCM」でもクレジットカードや動画配信サービスの番組名などに苦情が集まり、前年比123.2%となった。
業種別では、電子コミックを含む「電子書籍・ビデオ・音楽配信」が1171件寄せられ、そのうち909件が性的な表現に関する指摘となった。「医薬部外品」や「医薬品」でも、腸や筋肉、内耳のイラストが「気持ち悪い」、おならなどの表現が「汚い」といった声が急増。ECで商品を販売する特定の1事業者に対して737件の苦情が集中する傾向も見られた。このほか、「オンラインゲーム」では性的・グロテスクな表現への不満、「医院・病院」では美容医療の大げさな標ぼうや高額契約への誘導に対する苦情が目立った。
また、閉じるボタンが誤タップを誘う配置になっていたり、画面を覆って閲覧を妨害したりするダークパターンや掲載手法(UI)への不満も前年比163.8%の1027件と急増している。
申立者の属性では、特に20代・30代からの申し立てが増加。性的な広告への苦情の約75%を女性が占めたことから女性申立者が増加し、従来の男性中心から男女比の差が大幅に縮小した(男性54.4%、女性45.3%)。
JAROは2025年度、広告主に対する苦情情報の提供について、前年を大きく上回る33回(2470件分)行ったほか、電子コミックやオンラインゲームの業界団体へも自主的取り組みを要請。さらに美容医療などを中心に20件の「見解(厳重警告・警告)」を発信するなど、自主規制の強化を図っている。





