企業の強みや歴史は、そのままでは顧客や投資家には伝わりにくいものです。自社の言葉を、顧客やステークホルダーが理解できる言葉へどう翻訳するか。MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やブランドストーリー、トリセツ化の考え方を解説していきます。
ブランドの土台となる「社内トリセツ」
リブランディングでは、ブランドの考え方を社内外で一貫させるために「ブランドのトリセツ(取扱説明書)」をつくります。
ブランドのトリセツには、大きく二つの役割があります。
一つ目は社内トリセツです。これは企業理念やMVV、事業コンセプト、ブランドのトーン&マナー(表現や行動の基準)などを整理し、「私たちは何を大切にする企業なのか」を社内で共有するためのルールです。
二つ目は社外トリセツです。こちらは、会社案内やホームページ、営業資料、SNS、採用ツールなど、お客様とのあらゆる接点でブランドを一貫して伝えるためのツールです。
つまり、ブランドのトリセツとは、「ルール」と「ツール」の両方を整える仕組みです。
まず重要になるのが、ブランドの土台となる社内トリセツです。ブランドは、お客様だけに向けたものではありません。社員一人ひとりがブランドを理解し、同じ価値観で行動できて初めて、一貫したブランド体験を提供できます。
社内トリセツの中心となるのが、MVVです。MVVは、企業の存在意義や目指す未来、行動の判断基準を示すブランドの「核」となる考え方です。ミッションは「企業はなぜ存在するのか」、ビジョンは「どのような未来を目指すのか」、バリューは「何を判断基準として行動するのか」を示します。
そして、その核を具体的な事業活動へ落とし込む「設計図」となるのが事業コンセプトです。事業コンセプトでは、「どこの、誰に、何を、どのように届けるのか」を明確にし、経営理念を日々の事業活動へとつなげていきます。
つまり、MVVと事業コンセプトが揃うことで、企業のすべての活動に一貫性が生まれます。
こうした考え方が社内で共有されていれば、社員一人ひとりの判断や行動にも一貫性が生まれます。反対に、価値観が言語化されていなければ、それぞれが自分の経験や感覚で判断し、ブランドは組織の中でばらばらになってしまいます。
人材の多様化や人手不足が進むこれからの時代は、「言わなくても伝わる」「見て覚える」といった属人的な経営には限界があります。社内トリセツは、誰が働いても同じ価値観で判断し、お客様へ一貫したブランド体験を提供するための共通ルールです。

