AI支出の8割、財務成果との関連示せず 高性能モデルの “使いすぎ” がコスト押し上げ

企業による生成AIの活用が広がる一方、AIの処理に必要な「トークン」への支出のうち、定量的な財務成果との関連を証明できている割合は2割未満にとどまることが、アクセンチュアの調査でわかった。AIへのリクエストの半数以上が、必要以上に高性能なモデルへ振り分けられているという。

調査は2026年7月、日本を含む17カ国で実施した。対象は年間売上高10億米ドルを超える企業のCIO、CTO、CFO、CEOなど、AI関連支出の意思決定に携わる経営層750人。

企業はAI予算の平均25%をトークンに充てており、半数の企業がトークン消費量をAIコストの上位3要因の一つに挙げた。すでに3社に1社が年間のトークン予算を超過している。経営層は今後2年間でトークン消費量が78%増えると予測しており、費用の増加はさらに進む見通しだ。

トークン価格が下がっても、支出が減るとは限らない。価格が25%以上低下した場合、95%の経営層が、それを契機にAI関連支出全体を増やすと回答した。単価の低下がコスト削減ではなく、AIの利用拡大につながる可能性が高い。

AI活用のコストを算出できる企業は35%

AI投資と成果の関係は、十分に把握されていない。トークン支出のうち、定量的な財務成果との関連を証明できている割合は2割未満だった。自社で最も重要なAI活用事例についても、成果を得るために要したコストを算出できている企業は35%にとどまった。

コストを押し上げる一因が、タスクに対して過剰な性能を持つAIモデルの利用だ。アクセンチュアは、米国労働省の職業情報データベースに含まれる9368件の職務タスクを分析。その結果、最先端の「フロンティアモデル」の能力を必要とするタスクは全体の約1割と推計した。

一方、実際のAIリクエストの54%は、タスクに必要な水準を上回る高性能モデルに振り分けられていた。簡単な要約や分類にも高コストのモデルを使うなど、仕事内容に応じた使い分けが進んでいない状況がうかがえる。

タスクに適したAIモデルへ自動的に振り分ける「モデルルーティング」について、経営層はAIコストを効率化するうえで最も重要な施策と捉えている。しかし、実際に導入している企業は30%にとどまった。

次のページ
1 2
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事