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世界初、海の健康度ランキング発表。日本は11位

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海の健全度を数値化し、171の沿岸諸国を比較する「海洋健全度指数」

Ocean Health Indexのウェブサイト

Ocean Health Indexのウェブサイト

世界初の海の健康度指標「海洋健全度指数(Ocean Health Index :OHI)」が科学誌「ネイチャー」(電子版)上で発表された(米国時間15日午後1時、日本時間16日深夜2時)。OHIはコンサベーション・インターナショナルとナショナルジオグラフィック協会、ニューイングランド水族館が共同開発した海の健全性を包括的に評価する指数。人間生活と海の関わりを重視し、171の国や地域(排他的経済水域)の海洋状態を包括的に評価する世界初の取組み。

世界人口が増加し続けるなか、人々の海への依存度は高まる一方、世界の海洋の状態は悪化しつづけている。OHIは、そうした状況を改善するための政策策定の指針となるよう開発された。株価指数のように、海に面する対象地域をスコアで比較できるように設計されている。

海の健全度は、海の持続可能な利用から得られる「便益」という観点からまとめた10の目標(食料供給、零細漁業の可能性、海洋生産物、炭素貯蔵量、海岸保護、生計手段および経済、観光およびリクリエーション、場所のイメージ、きれいな水、生物多様性)をもとに評価される。

科学誌“ネイチャー”に発表されたOHIでは、グローバルスコアは100点満点中60点。これに対して日本は69点で平均より高く、171の国や地域のうち、11位となっている。スコアが下がるほど、海洋からの便益を持続可能は形で活用していないか、十分享受していないことを意味する。

世界人口は70億から90億へ増えていくなか、その40%以上が沿岸部に住んでいる。海への依存度は高まる一方で、モニタリングされている海産資源のおよそ84%は許容一杯の状況か、過剰に漁獲されているか、すでに枯渇している。世界の漁業船舶の漁獲可能量は、持続可能な漁獲レベルの2.5倍と推測されている。

論文共同執筆者であり、ニューイングランド水族館のCEO、バド・リス氏は、「60というグローバルスコアは、海の管理が最適でないことを表しています。いろいろな方法で改善の余地があることを、OHIからわかってもらえると思います」とコメントしている。

同じく共同執筆者でコンサベーション・インターナショナル上級執行役員のグレッグ・ストーン博士は、「OHIによって初めて、海洋で起こっていることを総合的に評価することができるようになりました。また、人間が活動すること、しないことの影響を世界全体で評価することができます。頑強で定量的な評価方法に入手可能な最良のデータを組み合わせることで、政府やビジネスが適切な管理の判断をする助けとなります。自然、社会、経済、政治的背景の違いは影響しないのです」と述べている。

また、もう一人の共同執筆者で、ナショナルジオグラフィック協会のエンリケ・サラ博士は「OHIは、海洋の健全度の体温計のようなものです。患者の様子を教えてくれます。インデックスは、政策が機能しているか、さらに新しい解決策が必要かどうかの判断材料となります」と述べている。

世界の海洋資源がどれほど危機的状況にあるのか、効果的な漁場管理の方法はあるのか、各国政府による具体的な対策が求められている。

© Keith A. Ellenbogen(location:Magaic Mountain, Southeast Misoo, Raja Ampat, West Papua, Indonesia)

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