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パーソナライズド・メディアの進化〜人工知能と友達になる時代がやってくる〜

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東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は日本にとって大きな転換点となる。2020年を節目とし、未来の日本をどうデザインするべきか?アサツー ディ・ケイ(ADK)と宣伝会議は10月17日、虎ノ門ヒルズにて、生活者の変化とその予測から未来を構想する特別フォーラムを開催。各界で活躍する特別ゲストや、全部で10の重要業界をカバーする、ADKの専門家集団「カテゴリーチーム」による示唆に富んだセッションが行われた。

登壇者
コンテンツ・カテゴリーチーム・リーダー 伊藤直史氏
メディア・コンテンツ計画局 徳竹裕氏

ゲスト
Jetrunテクノロジ株式会社 ヒューマノイド事業戦略本部事業推進本部長 宮城千明氏
フラワー・ロボティクス株式会社 代表取締役 松井龍哉氏

核家族化で新たな役割 ロボットと人が対話する時代

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対話エンジンが進化し、人工知能がロボット技術と融合していく近未来には、人々の生活が大きく変化する。セッション3「パーソナライズド・メディアの進化〜人工知能と友達になる時代がやってくる〜」では、ADKカテゴリーチームの「ゲーム&トイ」「コンテンツ」の2チームがタッグを組んでプレゼンテーションを行った。

対話エンジンの進化によって起こるパーソナライズ・メディアの可能性や、ロボット技術が近い将来、研究対象から産業へと発展し、注目されるマーケットになるのではないかという予測をゲストの話から紹介。さらに、ディスカッションではこうした技術進化の流れを踏まえて、ADKがどのようなサービスを提供していくのかが話された。

コンテンツ・カテゴリーチーム・リーダー 伊藤直史氏 メディア・コンテンツ計画局 徳竹裕氏

コンテンツ・カテゴリーチーム・リーダー 伊藤直史氏
メディア・コンテンツ計画局 徳竹裕氏

ADKコンテンツカテゴリーチームでは、対話エンジンを活用した次世代のメディアとして「友達アプリ」を開発している。アプリ内のキャラクターと会話をしていくことでユーザーの好みを学習し、その時々の会話や、位置情報に合わせた情報や広告をプッシュするものだ。

伊藤氏は、このアプリを開発しようと考えた背景に、インターネット利用のデバイスとしてスマートフォンが主流になることでアプリの重要性が高まり、情報との接点が検索行為からアプリのレコメンド機能に移っていくという技術的な点と、核家族化や世帯単位の縮小により人々が感じる孤独という精神的な点を挙げた。

「友達アプリ」画面

「友達アプリ」画面

「友達アプリ」は、進化した対話エンジンを活用することで、アプリ側から会話を始めることができ、日付や位置情報から、そのときその場所、タイミングにふさわしい話題を提供し、ユーザーとの会話によって感情が変化し、趣味や嗜好を学習していく特徴を持っている。

伊藤氏はこのアプリを「ひとりひとりの好みを理解した究極のパーソナライズド・コミュニケーションを可能にするプラットフォームにしたい」と話した。

ユーザーにとっては、自分を理解し、心情に合わせた会話を提供して友達のような存在であり、企業にとっては、消費者の興味や嗜好に合わせた最適なタイミングで商品やサービスを提案・提供できるプラットフォームとなることを目指すという。

その時々の感情に共感 ユーザーごとにパーソナライズド化

Jetrunテクノロジ株式会社 ヒューマノイド事業戦略本部事業推進本部長 宮城千明氏

Jetrunテクノロジ株式会社 ヒューマノイド事業戦略本部事業推進本部長 宮城千明氏

友達アプリに使用されている対話エンジン「TureTALK」を開発したJetrunテクノロジの宮城氏は、友達アプリのデモンストレーションを交えて機能を詳しく解説した。

「TureTALK」は、言葉が持つ複数の意味を理解したり、人の会話で省略された部分や、「あれ」、「それ」といった指示代名詞の意味を前後の会話の流れで推測することも可能となっている。

宮城氏は「従来のように、会話の内容を記憶したり、学習することで話題を提供するのではなく、記憶した会話を元に、ユーザーのその時々の感情に共感できる機能を持つことで本当の意味のパーソナライズができるのではないか」と話し、友達アプリでのADKとの協力体制を生かして、コンピューターとの会話の面白さを実現していきたいと展望を語った。

ロボットビジネスは、日本の次なる産業になる

フラワー・ロボティクス株式会社 代表取締役 松井龍哉氏

フラワー・ロボティクス株式会社 代表取締役 松井龍哉氏

もう1人のゲスト、フラワー・ロボティクスの松井氏は、先に触れられた対話エンジンなどを搭載するハードウェアとしてのロボットが、研究対象から日本が自動車の次に誇るべき産業になるのではないかという視点で自社の活動と新たに開発した「Patin」を紹介した。

「Patin」とはフランス語で「スケート」を意味する、人工知能を持った家庭用ロボットだ。この「Patin」はハードウエアプラットフォームでSDK(Softwear Development kit)を、組み合わせるアプリケーションを開発する企業や、ロボット産業に参入を検討する企業に販売することで、ロボット産業の活性化を狙うとともに、「スマートロボット市場」という新しい市場への参入を視野にいれている。

「Patin」は充電器をネットワークとつながるピットとして利用し、そこからクラウドと接続し、生活者の情報を分析,アウトプットし、さらにそのアウトプットから新しい市場を生み出すようなものがスマートロボット市場である。

松井氏はテクノロジーのトレンド曲線を紹介し「現在一番重要視されているのはウェアラブルデバイスをはじめとするIoT技術です。そこから自動車の自動運転技術が来て、その次、自動運転の2年後くらいにスマートロボットが本格的にマーケットになっていくと考えています」と話した。

最後に徳竹氏は、宮城氏の対話エンジン「TureTALK」、松井氏の「Patin」のようなロボットが作り出すスマートロボット市場を踏まえ、「我々が長年関わってきたコンテンツである『ドラえもん』のような、これまでは空想の世界のものだった存在が実際に登場する世界がすぐ目の前に来ています」と話した。

こうした時代においても「ADKはコミュニケーションやマーケティングのプロとして、『友達アプリ』のような新しいサービスへの取り組みを通じ、この領域に関わり続けていきます」と話し、セッションを締めくくった。