石川県羽咋(はくい)市のスーパー公務員、高野誠鮮さんの著書『ローマ法王に米を食べさせた男』を原案とした、TBS系列の連続ドラマ『ナポレオンの村』(主演:唐沢寿明)が7月から放映されている。いま注目を集める「地方創生」というテーマに挑んだ、高橋正尚プロデューサーの狙いとは。
※月刊『広報会議』では高野誠鮮さんによる地域のPRをテーマとしたコラムを連載中です。
石破茂大臣も太鼓判のドラマ
——『ナポレオンの村』は高野誠鮮さんの人物列伝のドラマかと思いきや、高野さんの著書は「原案」という位置づけなんですね。
「高野さんがローマ法王に手紙を書いて、お米を献上した」という事実はドラマティックなんですが、ストーリーとして再現しようとすると、非常に難しかったんです。本当のことなのに、高野さんの発想があまりに奇抜すぎてフィクションにしか思えないというか。なので、そのエピソードをもとに脚本を作ったものの、丸ごとボツにしたこともあります。
東京都庁に勤める浅井栄治(唐沢寿明)は、限界集落・神楽村を抱える東京都星河市役所に赴任。市長の福本純也(沢村一樹)、農林商工課の岬由香里(麻生久美子)らは村の活性化に消極的だが、浅井は祭や米など、村の伝統を現代風にアレンジして「ここにしかない」価値を生み出すべく奮闘する。)
今回の企画にあたって、全国で実際に地域活性化を頑張っている方がたくさんいることを知りました。その要素も色々とドラマに取り入れています。例えば、第一話のスカイランタン。これは新潟県津南町の雪まつりなどで実際に行われているものです。内閣府やNPOなど町おこしの担い手の皆さんにも取材させていただいて、活動資金を賛同者から集めるクラウドファンディングといった新しい手法も登場させました。
「地方創生」は今でこそ注目のキーワードですが、去年の夏に企画を始めた当初は「こんなに地味なテーマで連続ドラマになるのか、大丈夫か」と言われたこともあったんです。地域活性化なんて誰しもが興味を持つメジャーなテーマではないんじゃないか、と。

