【前回記事】「プログラマー出身のアートディレクターが考えるワークするデザインとは?」はこちら
そんな中で、データを始めするテクノロジーとクリエイティブを融合させ、成果につなげているクリエイターがいる。博報堂アイ・スタジオのデジタルソリューション部で活躍する笹垣洋介さんだ。いまデジタル領域の広告クリエイティブに求められることについて、笹垣さんに聞いた。
——デジタルソリューション部の中で、どのような役割を担っているのでしょうか。
はい。この部署は、クライアントワークを中心にデジタル領域のコミュニケーションの設計から、制作までを担当する部門です。その中で、私はインタラクティブディレクターとアートディレクターを兼務しています。
最近では、プロジェクションマッピングなど新しいテクノロジーを使用したイベントに関わることも多く、Webからデジタル全般でのコミュニケーション構築と領域を広げていますね。また、副部長として、部員のマネジメントも担当しています。
——プレイングマネージャーとして、働いているのですね。
そうですね。クリエイターの場合、基本的には師弟関係にならないと束ねていくのは難しいですから。それに、僕は自分で手を動かすタイプの人間なので、制作する姿を見せることで「部下に道を示す」ことができると考えています。
——デジタルが浸透することで、広告クリエイティブが大きく変化しています。そんな中で、笹垣さんが大切にしていることは何でしょうか?
僕はよく「手触り」と呼ぶのですが、最終的にユーザーにどんな形で広告が届くのかということを大切にしています。最近は、「誰にいつ」「どんな情報を提供するのか」というデータ活用が重要視されています。それはもちろん大切なことですが、データは過去の蓄積だけに必ずしも未来がその通りにいくとは限りません。
また、適切なタイミングで手元に届いたとしても、果たしてそれは「もらって嬉しいもの」なのか、ということが大事です。マーケティング的な視点はとても大切なのですが、最終的なタッチポイントで人の心が動かすクリエイティブが作れるかどうか、を意識しています。
