情報流通網は絶えず変化する
情報の流通の進化というのはインフラストラクチャ(社会基盤)と密接に結びついている。古くは鉄道、そして自動車などの交通網の発展は新聞のような物理的な形態のメディアの輸送を可能にし、情報到達のエリアを拡大したと言われる。電気的メディアである電信電話網の発展は、物理的な何かが情報のビークルであらねばならなかった時代の制約を乗り越え、情報到達時間のギャップを大幅に縮めた。そして電子的なメディアであるインターネットは、場所の制約・時間の制約を超えて情報共有の空間として成長してきている。
今からほんの少し前、数年前までは、従来型メディア(とりわけマスメディア)が「プッシュ型メディア」なのに対し、インターネットは「プル型メディア」であると分類されていた。インターネットは情報のアーカイブであって、必要に応じて情報を取りに行く(=プル)、そんなメディアだと考えられていた。それゆえ「情報共有」といっても、ストックされた情報を共有するのであって、ライブ的に情報を共有するものではなかった。これが今劇的に変わってきている。その最大の変化を与えているのが、ソーシャルメディアなのである。
上にあげた過去の変化と同様に、ソーシャルメディアがもたらす情報流通の変化もインフラストラクチャと密接に結びついている。「人と人のネットワーク」こそがソーシャルメディアがもたらしているインフラストラクチャであり、新しく生まれている「パイプライン」。このパイプラインを通じて行われる情報の共有とは、これまでのインターネットにはないスピードでの情報の拡散にあり、数年前に考えられていた「共有」とは意味合いが変わってきている。
「プル」、つまり「引き出され」た結果共有されるのではなく、情報が「プッシュ」ないしは「パス」されて友人・知人から届く。このことはオンラインでのプロモーションを手がける際には、コンテンツ・情報を単にインターネット上に置いておくだけではなく、また「引き出される」ことをリアクティブに待っているだけでもなく、拡(ひろ)がるための手段をプロアクティブに企画していかなければならない、ということを指している。(次ページに続く)
「高広伯彦の“メディアと広告”概論」バックナンバー
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