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コラム

高広伯彦の“メディアと広告”概論

ソーシャルメディアの時代なので、クチコミマーケティングを再考しよう:1

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媒体として売られたクチコミは「小さなマスメディア」にすぎない

「インターネットの普及は消費者が情報をコントロールする時代の到来」と言われて久しい。2006年、『TIME』誌は Person of the Year (今年の人)に [ You. (あなた自身)]を選び、米国の広告業界誌AdAge(アドエージ)は Agency of the Year(今年のベスト代理店)に[ the Consumer (消費者)]をあげた。この頃から日本でもCGM(Consumer Generated Media ただしこの言い方は日本でのみ。海外ではUGC: User-Generated Contentのほうが一般的なようだ)や WOM: Word of Mouth クチコミ、という言葉が話題になった。ブログの普及がきっかけとなり、そして2005年に生まれたユーチューブが「消費者主導の時代」を決定づける。メールが主たるユーザーコミュニケーションの手段だった時代と比べ、より伝搬力が強いソーシャルメディアによって消費者間の「つながり」が増強され、情報の流通パイプラインとしてどんどん成長してきた。

CGMやWOMが話題になった頃、インフルエンサー(影響力を持つ人)に情報を語らせることに代理店やPR会社、マーケティングサービス提供企業が力を入れた。しかし敢えて言うならこれらは「小さなマスメディアの集合」に過ぎない。どれだけインフルエンサーに発言をさせようが、それはテレビが視聴者に語りかけるような「1対n」 の話と同じように、インフルエンサーはその支持者に語りかけるだけに過ぎない。本当に消費者情報流通パイプラインをうまく使うのであれば、単に声の大きい人を使うだけでなく、集団n の中で横の拡がりを持たせるようなプラニングをしなければ、それは「Word of mouth marketing クチコミマーケティング」とは言えないのだ。

「クチコミマーケティング」と言われて業界内で提供されているもののうち、多くは「人を媒体枠として」売っているものである。「ブロガーに書かせます」、「ツイッターユーザーにつぶやかせます」などなど、、、これらはブロガーのPV数やツイッターのフォロワー数を「部数」に換算して媒体枠として売っているに過ぎない。インフルエンサーマーケティングとは言えるだろうが、クチコミマーケティングではない。ユーザー間の「言の葉にのぼる」ように企むのが「クチコミ」を使ったマーケティングなのであって、単にリーチを売るものは「新しいメディアを使った従来型の広告ビジネス」に過ぎないのだ。

では、クチコミを企むとはどういうことなのか? これについては次回のコラムにて。

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