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公共施設はマーケティングで変われるか?練馬区立美術館がロゴ・マークを公募で決定

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最優秀作品に選ばれた和久井遥さんが作成したロゴ。自身の作品にプロが手を加えて完成した新ロゴ・マークを見て、和久井さんも感激の様子。「ロゴを考えた際、アニメーションにして動かしてみても、面白い映像になるのではと思っていた。キャラクター化や動画など、可能性も広がりそう」と話した。

東京・練馬にある練馬区立美術館では、区民から美術館のロゴ・マークのデザインを募集。葛西薫氏(アートディレクター・デザイナー)やナガクラトモヒコ氏(アートディレクター・デザイナー)らが選定委員となり、最優秀作品を決定。選ばれたのは、和久井遥さん(日本大学芸術学部大学院)の作品。この作品をベースに葛西氏、ナガクラ氏が、一部手を加え、新ロゴ・マークがデザインされた。

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ナガクラ氏らが最優秀作品をもとに作成した新ロゴ・マークのVIマニュアル。「たとえばロゴに顔を描いて、キャラクター化するなど、派生展開も考えられる」とナガクラ氏は説明した。

これを記念し、5月13日には同館にて葛西氏、ナガクラ氏、古居利康氏(クリエイティブディレクター・コピーライター)をパネラーに招いて、「キャッチフレーズ、ロゴ・マークのいま」をテーマにしたシンポジウムが開催された。ロゴ・マークの募集にあたって「ときめきの美 いま 練馬から」というキャッチフレーズを策定していたが、このキャッチフレーズは古居氏の手によるものであることから今回の登壇となった。

練馬区立美術館は、開館25周年を機に館長にサン・アド社長やサントリー美術館副館長・支配人を務めた若林覚氏を迎え、活性化を図ってきた。区役所の職員以外が館長に就任したのは初めてのことだ。

若林氏は「着任して最初に気になったのが、キャッチフレーズや、ロゴ・マークがないこと。企業で商品を考えるときには、どんな中身(クオリティ)、どんな名前(ネーミング)、どんな顔(デザイン)、どんなプロモーションにするかを考えるのが基本だが、公共施設はこれが希薄。これは、いわば自らを規定する言葉と顔がないということ。まずはこの問題から解決しようと思った」とロゴ公募に至る経緯を話す。

選ばれた和久井さんの作品は、1粒の種が芽吹いて実となっていく「誕生から実り」をイメージしている。地域に根付いた美術への思いが、「今をときめく美となって、多くの人々の心をときめかす」存在になって欲しいとの願いが込められている。今後、各種ツールにこの新ロゴ・マークが使われるほか、このマークを使った練馬区立美術館のオリジナルグッズの作成も視野に入れている。