モバイルアプリの使われ方に日米の差
6月20日から22日まで、米国オーランドで開催されたNielsen Consumer360というカンファレンスにスピーカーとして招待され、参加した。このカンファレンスはマーケティング全般をテーマとしていたが、内容はイノベーションとデジタルが中心であり、この分野への関心と活用度は日本よりも大きいという印象を受けた。筆者の登壇したモバイルアプリのセッションも、カンファレンスに参加した人のうち4分の1が出席するなど関心の高さがうかがえた。その中で発表されたデータでは、米国のアンドロイド携帯のユーザーは実に、携帯に接しているすべての時間のうち56%をアプリに使っているというものだった。
一般に、アプリをダウンロードするきっかけは家族や知人の推薦が多いとのことであるが、企業のアプリが消費者に認知されるためには広告宣伝を行わねばならないという。しかしながら上記の傾向は日本には必ずしも当てはまらないと見るのが妥当であろう。
その理由のひとつにはインターネット接続料金の壁がある。日本では月額定額料金が浸透しているのに対して、米国では従量課金が中心であるので、アプリを最初にダウンロードするときに多くの通信量が発生するものの、利用時には通信負荷が少ない。日本ではブラウザーで通信を繰り返しても料金が発生しないため、アプリを提供するよりも企業ページでアプリと同様のサービスや情報発信を行うという選択も十分ありえるのではないか。実際に、日本では従来より携帯でもアプリの機能がついているが、決済やサービス以外ではサイトへの接続の方が多く使われているというのが実情ではなかろうか。(次ページに続く)
「i(アイ)トレンド」バックナンバー
- すべてのマーケティングがサブスクリプション化する?~マーケティング協会のイベントで感じたこと~(2018/5/11)
- 高付加価値経済の実現のために、なぜ賃上げが有効なのか(2018/4/23)
- デジタルテクノロジー/マーケティングの進化で実現するシェアリングと所有の二極化経済(2018/3/13)
- 2018年の日本はデジタルテクノロジー・マーケティングの進化により、ようやく適正価格の高付加価値エコノミーに進化する(2018/1/26)
- ピザ生産遅延、無料クーポン行列、集配遅延はなぜ起きたのか?(2016/12/26)
- まだ始まっていない日本航空の「どこかにマイル」の大ヒットを予想する理由(2016/12/01)
- AI(人工知能)は人類を超えるのか?(2016/7/20)
- カンヌ・サイバー部門総括「社会派の作品はチタニウムに集約へ」(2016/6/24)
新着CM
-
マーケティング
充電で乗り換え喚起 アウディ ジャパン、電気自動車向け拠点の日本1号店
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
クリエイティブ
品が良すぎる漫才(有元沙矢香)コピー年鑑2023より
-
AD
マーケティング
企業のパーパスに共感してもらうことが、デジタルコミュニケーションの近道に
-
広報
SNSの声を広報としての判断軸に活かす(広報担当者の情報インプット術/ヘラルボニ...
-
広報
モビリティサービス協会設立、業界の垣根を越えルール作りや提言
-
販売促進
「脳トレ」でドライバーの健康増進、損害保険ジャパン 「運転脳トレ」のNeUと提携
-
AD
特集
OOHと生活者の交差点を考える
-
クリエイティブ
デコンストラクションで浮かびあがった9つの視点(木村健太郎)~『世界を変えたクリ...