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震災復興でクローズアップ NPO・NGOの広報活動

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左から 博報堂PR戦略局 中野民夫氏、シャプラニール 石井大輔氏、チャイルドライン支援センター 太田久美氏


左から 日本財団 福田英夫氏、日本エコツーリズムセンター 山中俊幸氏

東日本大震災後、被災地での復興支援活動に早くから取り組んだNPOやNGO。従来の活動範囲を広げ、取り組んだ団体も少なくない。一般の人のボランティアや募金への参加も増え、NPOやNGOに対する社会的な関心も高まっている。NPOやNGOにとっては、自分たちを知ってもらうチャンスでもあり、改めて自分たちの活動をどのように伝えていくかを考え直す機会にもなっている。

月刊『広報会議』では、NPO・NGO団体の広報担当者や支援者らにお集まりいただき、非営利団体が活動内容を社会に発信し、理解を得るための広報のヒントを探った。

募金やボランティア参加で「自分ごと化」された震災

電話相談を通じて子どもたちを支援するチャイルドライン支援センターでは、東日本大震災で仙台事務所が被災。同じ1つの番号で全国からの電話を受けられる体制を整え、被災直後の東北地方の子どもたちがかける電話にも対応した。

専務理事の太田久美氏は、「報道では、子どもたちの笑顔から元気をもらった、子どもは元気、大丈夫というメッセージが多かった。でも、現実はそうではない」と指摘。そもそも、途上国に比べ、一見恵まれた環境にいる日本の子どもたちが悩む状況は伝わりづらい。震災を通じ、国内の問題にも目を向けてもらう機会になれば、と話す。

震災に際し、エコツーリズムという従来の活動範囲を超えて災害救援活動に取り組んだ日本エコツーリズムセンター。「これまで接点のなかった非常に多くの人が、能動的にサイトを探して問い合わせ、参加したことに驚いた」と同センターの山中俊幸氏は語る。

これについて、「今回の震災では東京でもかなり揺れたため、『自分ごと化』しやすかったことが、一般の人の支援に結び付いた」と指摘したのは、博報堂PR戦略局の中野民夫氏。一度ボランティア活動に参加をした人たちには参加意識が芽生え、外から見て知識として知っていることとは違う感覚が生まれている。非営利団体の広報活動においては、現地を見てもらう、何かに参加してもらうことがますます重要だと語る。

目の前の問題だけでなく世界の現状に関心を

一方、目の前の震災復興だけでなく、海外の貧困国など世界の状況に対して、継続的に目を向けてもらうことも、国際協力団体にとっては重要なテーマだ。「今、節電がテーマだが、支援しているバングラディシュではまだそのインフラが整っていない。そのため、電気がない中でいかに暮らすかという知恵を持っている。そこから関心を広げたい」(国際協力NGOシャプラニール広報担当 石井大輔氏)。

一般的には日本の“援助先”と考えられていた国々から援助を受けることもある。14カ国語の多言語リリースで海外からの寄付を募った日本財団には、先進国だけでなく、多くの貧しい国からも募金や支援物資が届いた。また、スマトラ地震で助けてもらった日本にお礼がしたいと、ASEAN諸国の若者が被災地に入り、ボランティア活動にも取り組んだ。「海外からのこういった支援の気持ちを、どのように情報発信し、日本の皆さんに伝えていくかが課題」と同財団広報担当の福田英夫氏は語る。

6月には、NPO法改正法案や税制改正法案が可決され、活動認定範囲が広がるほか、認定NPO法人等への寄付金に対する税額控除の導入などの税制優遇拡充についても一歩前進をする。

NPOの活動が注目を集める中、今後は「寄付を集めるための広報」だけでなく、「寄付がどう使われるか」を広報することも求められる。

7月1日発売「広報会議」8月号 青山広報会議「NPO/NGOの広報活動」に詳細記事を掲載。