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コラム

NYクリエイティブ滞在記

東京から来た社長に、ディグダグで遊んでるところを見られる。

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モチベーションの値段。

やる気、すなわちモチベーションってとっても大事ですよね。モチベーションの持ち方だけで、仕事の結果が何倍にもなる。すごいエネルギー源。その点、日本の会社ってモチベーションの持たせ方が上手くないのかもなあ、とこっちに来て思います。

こないだ、とある仕事の打ち合わせでGoogleのNYオフィスに行ってきたんです。詳しい方はご存知のとおり、ものすごくでかい船のようなビルに、楽しい職場がつまってる。小道具がいっぱいの遊び部屋みたいな打ち合わせルームには、壁一面に楽しげなラクガキ。自分のPCがいつでもどこでも繋げられるよう、テーブルには無数の充電コネクタが。小さいことかもしれないけど、どれもうれしい。それから、壁全体がタッチパネルの電子図書室に、有名な無料ランチ。食堂が何箇所もあって、いろんなメニューがタダだから、若者たちは喜んで食べてます。僕もごちそうになってしまいました。これらで何が変わるって、やっぱりモチベーションです。一日たった数ドル分の昼ごはんかもしれない。でもそれでモワモワと湧き出てくるやる気といったら、けっこうなものだと思うんです。社員みんなの給料を月あたり数百ドル上げるよりも、よっぽど効果的な気がする。

弊社のニューヨークオフィスも、Googleほどではないのですが、いろんなうれしい遊び心があります。金曜の朝はベーグルが出ます。競争率高いので早めに行かないとなくなっちゃうけど、まあ早起きになるし。夕方になると、何かちょっとした集まりがあるたびにビールも振る舞われる。いや、ちょっとしたことですよ、ちょっとした投資。でも、会社が楽しくなります。そして同じビル内のグループ会社、360iとFirstbornがあるフロアにも大きなカフェがあって、数種類のおいしいコーヒーに、コーラやジュースも飲み放題。ビリヤード台やホッケーゲーム、そして懐かしのTVゲーム台もおいてあるんです。ゼビウスやらマッピーがタダで遊べる!わーい!で、今日たまたま、初めて、初めてですよ、先輩といっしょにディグダグ(知らない若者たちはGoogleさんに聞いてくださいまし)で遊んでいたら…そこに運悪く、東京からいらしていた弊社の社長と会長が。社長!会長!あわわ。やばい。見られた。ええと、いつも遊んでるわけじゃないんですってば。会社が持ってる遊び心が、僕らのやる気といい成果を作るんですってば。今ちょっとだけ、やる気を貯めにきただけなんですってば。

日本の会社は今たしかに大変です。経費削減のため、株主のため、 と、いろんな世知辛いことで、遊びがなくなってきてる。でもこの遊び心をなくしちゃうと、僕らの大事なエネルギー源もなくなっちゃう。成果が「予想通り」を超えられない。これって別にクリエイティブ職に限らないですよね。社員の出入りが激しいアメリカの会社は、いいスタッフに長くいいパフォーマンスで働かせるために、こういうさまざまなモチベーションアップ施策をいれているんだそうです。ちょっと残業が多くなった後には、すぐ休みをくれたり、とか。この、ちょっとした投資でできる「やる気倍増システム」、改めて日本の会社にも取り入れて欲しいなあと思いました。

でも、もし僕がこのあとすぐ東京に戻されたとしたら、たぶん、ディグダグのせいだろうなあ…。

佐々木康晴「NYクリエイティブ滞在記」バックナンバー