メディアミックス考:「パラダイムシフト」 と 「ソーシャルネットワーク」

今回から実施案のステップへお話を進めます。とはいえ、実施案はそれこそケースバイケースですから、細かいコトを言ってもラチがあきません。なので、僕が実施案を考える上で、最近気になっているモノやコトをネタに、お話を展開してみようと思います。取りとめのない内容になるかもしれませんが、気軽なコラムということで、ご容赦ください。

パラダイムシフト

皆さんもご承知の通り、メディア界に長らく君臨しつづけて来た4マスが青息吐息です。ネットの普及や道具のデジタルコンバージェンス化で、ここ10年の間に大量のユーザーがオンラインへ流出したと言われています。そして今度は、そんな状況に追い打ちを掛けるように「ソーシャルネットワーク」の台頭です。

そのスジの専門家によれば、ソーシャルネットワークの普及で、マスメディアの存在価値はむしろ高まるらしいのですが、ホントかなという感じがします。コンテンツが面白いとか、他にはない便利さがあるとか、何かしら際立った特色が残っていれば、そういう可能性もあるのでしょうが、僕自身は、現在のマスメディアにほとんど魅力を感じません。実際ここ数年で、4マスをはじめとした、いわゆるマス広告の効果は、だんだんと落ち込んで来ているように思えます。

ちょっと前までは、プロモーションのメディアミックスといえば、Paid Media ⇒ Owned Mediaというオーソドックスなスキームで済んだのですが、ここに来て、従来の考え方が通用しなくなってきました。

ソーシャルネットワーク

最近やたらと、ソーシャルネットワーク(=Facebook, mixi, Twitter,…etc)のニュースが目立ちます。プロモーション関係のメディアもこの話題で持ち切りです。ソーシャルネットワークの何たるかを語れなきゃ人にあらず、ソーシャルネットワークが世界を変える、そんな論調でおどかしてきます。居心地の悪いムードです。

僕はと言えば「新しいモノが出てくる時は、いつもこんな感じだよね…」と知った風を装っていますが、内心では、時代の変化についていけるか不安でいっぱいです。実際、僕のところに来る仕事も、ここ一年で、その手の話が増えました。ソーシャルネットワークのプロモーション活用です。しかしこれが、取り組んでみると、意外に不勉強な部分があったりして、ジブンのアタマをアップデートする必要に迫られます。

ケチで他力本願な僕はググって済ませようとします。参考書を買うより安上がりで、新鮮なネタが落ちているからです。さすがに話題のキーワードだけあって、その手の情報が大量にヒットします。どれも実に分かりやすく解説されていて、中にはムービー仕立の凝った作りのモノまであって、たいへん参考になります。以下、僕が知り得たソーシャルネットワークに関する知識を要約してみます。勉強家の皆さんにとっては、既にご承知の内容かもしれませんが、ざっとこんな感じです。

「ソーシャルネットワークとは?」(カミトモ調べ)

プロモーション活用のPOV

はじめは、目新しく感じられるソーシャルネットワークの理念や影響といった側面に気をとられて、なかなか核心が見えて来なかったのですが、結局のところ、ソーシャルネットワーク活用の勘どころは「インフルエンサーを媒介に、オンライン化した生活者のクチコミを、間接的にコントロールする手法の確立」…にあると言えそうです。

しかしこう書くと、今までのバズマーケティングと変わらない気がします。そうなのです。基本的なアプローチは変らないと思います。異なる側面があるとすれば、今までよりずっと情報の透明性が高いという点です。実はこれこそ、ソーシャルネットワークの最大の武器だと僕は認識しています。

mixiが匿名制なのに対して、話題のFacebookは実名制を採用しています。お互いの顔が見えるコミュニケーションになったことで、情報の信頼性が増す一方、いい加減な情報は流しづらくなるわけです。つまり、高い信頼性と大きな拡散力を持つメディアということです。これは、プロモーションの観点から見ても、歓迎すべきスペックです。

Facebookの成功によって実名制を採用するサービスはもっと増えるでしょう。世界各地で政治的出来事を牽引したと言われるソーシャルネットワーク。その影響力は、敵にまわせば脅威ですが、使い方さえ間違えなければ、大きなポテンシャルを秘めています。マスメディアが本来の機能を失いつつあるいま、それを補完する新しいメディアの成立は、生活者を含めた社会経済全体の要請です。情報の送り手である僕らは、生活者の信頼を裏切らないように心がけ、正々堂々と、積極的に、この新しいメディアに向き合っていけば良いと思います。

ソーシャルネットワークのプロモーション活用(POV)

最大の課題は、(インフルエンサー) =(自社ブランドファン)、という構造の成立です。これが成立すれば、ソーシャルネットワークのプロモーション活用は、もっとスマートに、システマティックになるはずです。そのカギを握っているのは、パラダイムシフトのもう一人の立役者とも言えるOwned Mediaではないかと、僕は睨んでいます。これに関しては、次回以降も、別の角度から光をあてながら、考察を継続していきたいと思っています。

次回は「ターゲットミックス考」です。

上塘 潤一郎「企画を通すコツ~オリエンからプレゼンまでの時間の使い方」バックナンバー

上塘 潤一郎(ゼンコミュニケーションデザインズ 代表取締役)
上塘 潤一郎(ゼンコミュニケーションデザインズ 代表取締役)

広告代理店の戦略プランナーを経て、ブランド戦略、事業プラン、プロモーションプラン、オンラインプロモーションなどのソリューション事業を提供するゼンコミュニケーションデザインズを設立し、現職。

ゼンコミュニケーションデザインズ: http://zencds.com/

上塘 潤一郎(ゼンコミュニケーションデザインズ 代表取締役)

広告代理店の戦略プランナーを経て、ブランド戦略、事業プラン、プロモーションプラン、オンラインプロモーションなどのソリューション事業を提供するゼンコミュニケーションデザインズを設立し、現職。

ゼンコミュニケーションデザインズ: http://zencds.com/

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