僕が実施案を考える上で、気になっているモノやコトをネタにお話を展開しています。これまで3回に渡って「インフルエンサーとしてのファン」、「個人投資家としてのファン」、「顧客とファンの境界線」という観点から、ブランドにとっての「ファン」の意義について考察を重ねて来ました。今回はその〆として、僕が考える「これからのコミュニケーションデザイン」をご紹介したいと思います。
ファンへと至る顧客の旅
これまで重ねてきた考察を踏まえ、従来のコミュニケーションをアップデートしたら、こういうコトになりました。我ながらポンチ絵のデキがイマイチなので、補足説明します。
プロモーションにおけるカスタマージャーニーが「タッチポイントから販売チャネルへ至る顧客の旅」だとすれば、ロイヤルカスタマージャーニーは「企業の総合的なコミュニケーションを通じて、ファンへと至る顧客の旅」と言えるかもしれません。
顧客は(共感)⇒(体験)⇒(経験)⇒(愛着)という態度変容プロセスを経て「ファン」に成る、というシナリオです。モデル化の狙いは、パラレルに認識されがちな4つのマーケティング活動(=メディアプロモーション/店頭販促/顧客マネジメント/メディアブランディング)を「ファンへと至る顧客の旅」というシチュエーションで括り、方向付けて見せることにあります。そうすることで、コミュニケーション全体に対する、それぞれの活動の役割や目的が、よりハッキリすると思ったからです。
このシナリオの中では、新しいメディアも、製品やサービスも、ストーリーを盛りたてる演出装置のひとつでしかありません。主役はあくまでも「ブランド」と「顧客」です。全体が二重螺旋の構造になっているのは、「顧客の旅」に終点がないことを示しています。既存ブランドのファンは、新しいブランドのプロスペクトでもあり、また、一人のファンは、その家族や友人という新しいプロスペクトを生みだす可能性を秘めた存在でもあるからです。
顧客を作り出すということ
「ビジネスの目的の正しい定義はただひとつ、顧客を作り出すことである。There is only one valid definition of business purpose: to create a customer.」
これはピーター・ドラッカーが残した語録の中で僕が最も共感する言葉です。商品のスペックや価格の優劣だけで勝負が決まるのであれば、そもそもブランディングは不要です。しかし幸いなことに、現実の市場では、いろいろな価値感をもつ生活者が居て、いろいろな製品やサービスを提供する企業が居て、ゆえにブランディングが必要とされて、僕らもなんとかメシが食えています。
とはいえ、目まぐるしく変化する今日の社会情勢の中で、多くのブランドが(100年と言わないまでも)10年愛され続ける保証はどこにもありません。不透明な将来のリスクをようやく軽減してくれるのは、結局のところ、ブランドの安定と成長を支えてくれる「ファン」の存在なのだと思います。新しいトレンドに積極的に取り組んでいく姿勢は必要ですが、目先の変化にばかり気を取られて、本質を見失っては元も子もありません。マーケティングの本質は、ドラッカーの言う通り「顧客を作り出すこと」にこそあると、あらためて思う今日この頃です。
さて、4回に渡り、僕が実施案を考える上で、気になっているモノやコトをネタにお話を展開して来ましたが、実施案のパートは今回で終了です。次回は「プレゼン準備」へとお話しを進めていきたいと思います
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