チームラボ代表取締役社長 猪子寿之(いのこ・としゆき)
――ヴェネツィア・ビエンナーレに「生命は生命の力で生きている」を出展し、反響はいかがでしたか。

チームラボ代表取締役社長 猪子寿之(いのこ・としゆき)
チームラボは2001年に東京で活動をはじめたウルトラテクノロジスト集団。プログラマー、ネットワークエンジニア、デザイナー、ロボットエンジニア、建築家、CGアニメーター、数学者など、様々なスペシャリストからチームが構成され、テクノロジー、アート、デザインの境界線をあいまいにしながら、ウェブか らインスタレーション、ビデオアート、ロボットなど、メディアを超えて活動。
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海外からの反響は日本以上にすごくよかった。ヴェネツィア・ビエンナーレの前に、4月9日から5月8日まで、カイカイキキ ギャラリー台北でチームラボの個展『生きる』を開催し、その後6月にはスイスのバーゼルで行われたアートフェア、『VOLTA7』にも出展し、予想を遥かに超える高評価を得た。絵画のようでもあり、アニメーションでもある、アニメーションと絵画のクロスボーダーな世界を新鮮に感じてくれたのかもしれない。デジタルクリエイティブの時代には、こういう既存のカテゴリーの境界を超えた表現の可能性が開かれている。
近代西洋文明のなかでは、絵画や彫刻と文学はそれぞれ明確に切り分かれている。一方、日本画や「書」の世界は、文学と絵画が一体で表現されている。誰がどういう状況で何を描(書)いたか、それらの情報が一体となっている作品世界のなかに入り込んで思いを膨らませるのが日本画の世界だ。近現代には、西洋絵画の影響を受けてきたが、基本的にマンガの世界は、昔の絵巻物の世界と同じで、絵画と文学が分かれていない。見るほうは絵画を鑑賞しながら、文学作品を読んでいる。切り分けられていないのが特徴だ。
