時代の空気をリアルタイムで映し出してきた“テレビCM”。『宣伝会議』12月15日発売号では、テレビでお馴染みの著名人たちに「2011年CMベスト3」を選んでもらい、今年1年間の広告界を振り返る特集を組みました。今回は、本誌での特集に連動して、2011年を象徴する“あのCM”のコピーライターへのインタビュー記事を一部抜粋して紹介します。
今年のユーキャン新語・流行語大賞候補にノミネートされた「ポポポポーン」。公共広告のワンフレーズ(しかも擬音)が、流行語として世を席巻したことは恐らく過去にもないだろう。
この状況に、同フレーズ“生みの親"のひとりともいえる、北海道在住のコピーライター・関ひとみさんは戸惑いを隠せない。「多くの人に知ってもらえたのは光栄なことですが、地方の一制作者の想定を超えていました」。
ACジャパンの公共広告『あいさつの魔法。』は東急エージェンシー北海道支社で制作され、2010年7月から全国で放映されていた。当然、制作に携わった誰もが、震災後のあの露出量を想定してはいない。「私についていえば、それまで札幌ローカルの仕事が多く、全国区で流れる電波の仕事は初めてでした。ですから、どちらかというと黒子的なスタンスで制作をしていたし、この仕事もその延長線で携わった。それが、震災を境に全国区で際立って注目を集める結果となり、戸惑いも大きかったです」。デザインプロダクションのコピーライターとして参加した関さんは、当時、身内にも自分が携わったことを言えなかったという。
企業CM自粛に伴うAC素材の大量露出は、広告の影響力が出稿量に比例するという事実も浮かび上がらせた。3月15日にはCMの総放送回数の8割超をACが占めた今年、CM総合研究所調査の「上半期銘柄別CM好感度トップ10」で、ACの公共広告は前年の73位から1位に浮上している。
