(左から)米山輝之さん、増田努さん
今回はカプコン CS事業統括 CS営業推進部 プロモーション企画推進室の室長を務める増田努さんとコミュニケーションプランニングチームの米山輝之さんに、ゲームメーカーの考えるソーシャルメディアの取り組みを伺いました。
ソーシャルメディア活用は米国販社が先行
――ソーシャルメディアを使い始めたきっかけを教えてください。
増田 使い始めた時期というとかなり古い話になるのですが、実際にはソーシャルメディアを活用していたのは米国の販社が先です。米国ではお客様に参加いただくコミュニティメディアとしてユーザーを集めながら情報発信する形式で成功していました。
日本でもゲームタイトルに紐付いた形でソーシャルメディアのアカウントを立てて情報発信していたのですが、米国に追従する形で日本もソーシャルメディアへ本格的に取り組むことになりました。
――初めに国内で始めたソーシャルメディアは何ですか。
米山 「@iCAPCOM」というツイッターアカウントを2009年に始めたのが最初ですね。当時カプコンでは、iPhone向けゲーム配信の取り組みを始めたところで国内外のユーザー向けにiPhoneアプリ情報を発信するアカウントとして立ち上げました。
増田 もともとアカウント自体はモバイルの部署で運用していたものを、最近行った組織編成で我々の部署で担当するようになったというのが経緯です。ほかにもキャンペーンの応募として「つぶやいてくれたらプレゼント」というような応募手段に使ったりと、コミュニケーションというより情報発信のツールとして活用を始めました。
――情報発信が目的とのことですが、ソーシャルメディアを使い始める上で炎上などの心配はありませんでしたか。
増田 そこはかなり気をつけているところですね。我々だけでなく他のゲームメーカーさんも一緒だとは思いますが、ツイッターだけでなく掲示板なども含めて、ユーザーが自分の意志で書き込める場所は非常に気を遣っています。
我々もファンクラブの形式で交流できる仕組みは持っていますが、ユーザー登録以外のコミュニケーション部分はmixiやフェイスブックなど外部のサービスを利用していただく形にしていて、できるだけ個人を把握して炎上がしにくい状況で交流してもらえるようにしています。
SNSとリアルイベントでファン同士の交流の場を提供
――本格的にソーシャルメディアに取り組みはじめた経緯を教えてください。
増田 きっかけは先ほども話に上がった通り、海外で先行していた「CAPCOM Unity」というコミュニティですね。アメリカやヨーロッパではネット上でのユーザーの反響が売り上げに影響するという点で日本より先を行っていますが、日本も遅ればせながらそういう時代が来ていますし、見過ごせない分野だと認識していました。
海外の動向を踏まえて本格的に力を入れ始めたのは2011年秋頃のことです。米山がいる部署を新設し、ユーザーとのコミュニケーション接点を集約することにしました。米山はユーザーとのコミュニケーションを図る担当で、モンスターハンターのコミュニティ「モンハン部」の編集長として、記事の展開やリアルイベントの展開などを彼が主導して展開しています。
カプコンは取り扱うゲームもジャンルが幅広く、アプローチもゲームタイトルごと個別に展開していたため、きちんとしたルールが設けられていませんでした。現在はコミュニケーションの部署を統合し、新たにソーシャルメディアを使いたい、という申請を受けてから開始すると共に、運用のための基本的なガイドラインも策定しています。
――「モンハン部」はどのような経緯で開始されたのでしょうか。
増田 「モンハン部」のターゲットであるモンスターハンターシリーズは、プレイヤーが顔を合わせて楽しむゲームという点で非常にコミュニケーション要素が強く、そのコミュニケーションをつないでいく場所を作りたい、という考えで始めました。
米山 開設したのは3年前の2009年4月で、「モンスターハンターポータルブル2nd G」が発売され、もう少しで「モンスターハンター3(tri)」が発売になる、という時期です。ただし、すでにその時点でモンスターハンターのユーザーは非常に多く、ネット上でもいろいろなコミュニティが運営されていました。我々としてはそうしたコミュニティを無視して新たに始めるのではなく、むしろ既存のコミュニティを大事にしつつオフィシャルのコミュニティをはじめることにしました。
増田 まずは携帯サイトとしてモンハン部を立ち上げ、1年ほどかけてコンテンツや運営ノウハウやなど充実させていきました。さらにツイッター、mixi、フェイスブック、そしてサイト自体のPC化に対応し、既存のコミュニティともつながる形で運営しています。特にmixiではモンスターハンターのコミュニティがとても盛んなので、そうしたコミュニティのリーダーを集めてイベントを開催したりと、リアルイベントでユーザーがコミュニケーションを作ることに注力しています。
先日も社会人限定のモンハン交流会、というものを開催しました。社会人だとなかなかモンハンを一緒にプレイする機会も少ないですから、飲み物や食べ物を楽しみつつ自由にモンハンを楽しんでください、という場所を提供し、参加したユーザーのコミュニケーションはSNSなどのコミュニケーションで広げていく、そういう役割分担をしています。リアルイベントは力を入れていて、モンハン女子会を開催したり、米山が自ら出かけていって地方のコミュニティでイベントを開催したりしていますが、いずれも好評ですね。
(次ページヘ続く)
「ソーシャルメディア活用先進企業に聞く」バックナンバー
- 【ソーシャルメディア活用(21)東急ハンズ】「ゆるいコミュニケーションが成功という風潮には危機感を覚えています」(後編)(2013/1/21)
- 【ソーシャルメディア活用(21)東急ハンズ】「ゆるいコミュニケーションが成功という風潮には危機感を覚えています」(前編)(2013/1/15)
- 【ソーシャルメディア活用(20)本田技研工業】「運用を始めたら、海外から多くの問い合わせが寄せられました」(2012/12/17)
- 【ソーシャルメディア活用(19)ベネッセコーポレーション】「ソーシャルメディアを使うのは親、しまじろうが好きなのはお子さまなんです」(2012/11/19)
- 【ソーシャルメディア活用(18)ミニストップ】「ニコニコ動画、最初はちょっと怖かった(笑)」(2012/11/05)
- 【ソーシャルメディア活用(17)ファミリーマート】「ネットニュース、店舗、SNSとつながっていくのはコンビニならでは」(2012/10/22)
- 【ソーシャルメディア活用(16)スターバックスコーヒージャパン】「80点を取り続ける運用こそ大事」(2012/10/01)
- 【ソーシャルメディア活用(15)日本マイクロソフト】「アクティブサポートの効果を実感しています」(2012/9/18)
新着CM
-
AD
販促コンペ事務局
販促コンペ応募受付中!あなたの企画を企業が直接審査します!
-
販売促進
ファッションとフィットネスの融合空間 表参道ヒルズにLÝFT GÝMオープン
-
広告ビジネス・メディア
博報堂DYMP、ChatGPTを活用した広告・メディア効果シミュレーションを研究
-
広報
ジャニーズ問題、広告主はどう向き合うべきか タレント事務所の不祥事とジレンマ
-
クリエイティブ
The One Show 2023部門賞を紹介【前篇】 2部門受賞は「Morni...
-
AD
広告ビジネス・メディア
楽天市場アプリが活用する Adjustの「CTV広告計測ツール」とは?
-
クリエイティブ
バスケがしたくなる屋外広告 バスケW杯開催100日前にあわせて掲出
-
クリエイティブ
クボタ「KUBOTA FUTURE CUBE」に最高賞 日本BtoB広告賞発表
-
特集
第60回「宣伝会議賞」特集