コラム

アメリカ女子高生 デジタルネイティブ日記

アメリカのデジタルネイティブの悩み、ネットいじめの実態や学校での対策とは?(2)

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前回は、米国の高校に通う娘が、ソーシャルネットワークのネガティブな側面であるコンピューター上でのサイバーブリー(ネットいじめ)をレポートした。今回はその第二弾として、ケータイやゲーム上でのサイバーブリー、また、娘の親友が被害にあった体験や学校でのいじめ対策について言及している。

ここからは、アメリカの17歳にバトンタッチしたい。

ケータイ上でのサイバーブリー

前回、サイバーブリーの実態を少しお話させていただきました。 重いトピックとなりますが、目をそらしてはいけない大事な社会問題だと私は思います。時代が進むにつれてネット社会は拡大します。被害を最小限にとどめるためにも、皆さんにサイバーブリーの現状についてもっとお伝えしたいと思います。

スマートフォンの場合、FacebookやTwitterなどからでもコネクトできますが、まずは電話のシンプルな機能である、通話とテキストに絞ってお話をしたいと思います。今の時代、ネット上で誰かの電話番号を探し出すのはとても簡単になってしまいました。たとえば、ソーシャルネットワークのどこかに載っているケースも少なくないと思います。この電話番号に繰り返し非通知で電話をかけ、嫌な留守電を残し、偽の番号から何百通とスパム・テキストを送るサイバーブリーがあります。

いじめる側からすれば愉快なのかもしれませんが、アメリカの商慣習では、電話をかけられた側も課金されるため、受け取る本人は心理的にも経済的にもダメージを受けます。またテキストで反モラル的な写真を送りつけたりすることもできるため、“sexting”(性的または卑猥な写真・文章を送ること)はティーンや大人たちの間で問題となっています。

ケータイを使ったサイバーブリーは、幸いなことに相手の電話番号をブロックすることはできますが、一度書かれたことや言われたことは、なかなか心から離れることはありません。予防策としては、できるだけ住所や電話番号をソーシャルネットワーク上に残さないといったことなどが考えられます。

ゲーム上でのサイバーブリー

ゲーム上では、どのようにブリーが行なわれているのでしょうか? X-boxやPlay Station 2 などのインタラクティブゲームでは、ゲーム中にチャットをしたり、インターネット電話で対戦相手と通話することができます。このネットをつないで行うゲーム上でサイバーブリーが起きています。

たとえば、屈辱的な言葉を投げかけたり、脅威を与えたり、最終的にはゲームで遊べないようにアカウントをハッキングし、ブロックしてしまったりします。このように知らない人同士の間でもブリーが起きるのです。ゲームでストレスを解消したい。勉強から逃れ、平和な一時を過ごしたい。そんなゲーマーに取っては実に厄介で頭にくる攻撃となるでしょう。サイバーブリーはゲームの世界にも存在しているのです。

いじめ対策は国家的問題 各州で法律が定められている

サイバーブリーが国家的な問題になった今、アメリカでは各州で法律が定められています。ちなみに私が住むカリフォルニア州でもいじめの法律はあり、加えてサイバー上のいじめの法律もしっかりとあります。サイバーブリーをしたところで逮捕はされませんが、そのサイバーブリーが殺人や犯罪につながった場合は、法律上罰せられることになります。

それが学校内で起きた場合、学校側から罰せられる場合もあります。たとえば私の高校でサイバーブリーが見つかった場合、加害者は数日間登校禁止を命じられます。酷い場合、公立ではありますが、退学命令が出ます。私が住む市だけかもしれませんが、退学命令が出された生徒が送り込まれる公立学校があります。そこでは学校生活に意欲がない子や麻薬で捕まった子、サイバーブリーの加害者や犯罪に手を染めた子などが通っており、それがひとつの犯罪抑止力となっています。

しかし、もう一つここで問題となるのが、学校側がどれだけ生徒の日常に関わって良いかということです。これは自由の国、アメリカだから起こりうる議論かも知れません。ほとんどのサイバーブリーは学校の責任が及ばない放課後、暇になったティーンたちにより行われます。そのため学校側から刑罰を受けた子供は、学校や先生が個人の時間に立ち入ったとし、学校側を訴えることもできるというわけです。サイバーブリーをなくす活動もまた大変なことなのです。

サイバーブリーの恐ろしさを訴える、高校での対策

私の高校では2月に“0 Tolerance Respect Week” がありました。これはサイバーブリーをもっと皆に知ってもらおうと始められた学校行事です。毎朝、校長先生が放送でサイバーブリーについて話をしてくれました。また、校内Tシャツデザインコンテストがあり、このRespect Weekの目的に合ったTシャツを作りました。生徒全員が一丸となって取り組んでいる問題だという認識を共通のものとするために、それぞれ生徒と先生に買ってもらい、それを日頃から来てもらうことで活動を盛り上げています。

学校のビデオプロダクションのクラスでは、30分ほどのサイバーブリーのビデオをつくりました。 そのビデオのなかでは、 ゲイや性同一性障害を持つ生徒たち、様々ないじめを体験してきた子や先生も出演し、サイバーブリーの恐ろしさを訴えました。また、実際にサイバーブリーを受けた生徒の再現ビデオも流し、どういう経緯や手段でサイバーブリーが起こるのかを生徒たちに教えました。クラスの時間では、Respect Pledge という宣言を一人一人が書き、校舎の中心にある掲示板に皆で貼付けました。

この Respect Weekは本当に役に立ったのかどうかは個人の意識次第だと思います。私はサイバーブリーについてより知ることができ、学校に感謝しました。

私の親友のケースと対策

Respect Weekの数カ月後、私の親友がサイバーブリーの被害者となった時、どうすれば良いのかがわかっていたため、すぐに解決に乗り出すことができました。今流行りの“FBストーキング”(特定の友人のFacebookでの行動を追跡する)をしていた彼女は、たまたま直接の友達じゃない人のウォールに彼女の友人がポストしていたステータスを読んでしまいました。その下に出てきた多くのコメントを読んでいくと自分の悪口が書いてあることに気づきました。実名は出ていませんでしたが、“あなたの元カノ大嫌い”から始まったヘイトコメントがスペースを埋め尽くし、なかには友達だと思っていた人たちまでLike!をしていて、本人はとても辛い思いをしました。

このサイバーブリーの「始まり」を直ちに止めるため、私とその親友はこのFBのステータスが消される前に証拠写真を撮り、学校のカウンセラーへと向かいました。カウンセラーとはどのような対策を取るべきか、そのサイバーブリーをしていた友達とはどのように接したらいいのか、そして今後どうすれば良いのかなど1時間程度話し合いました。結果的には、そのサイバーブリーに関わった子たちは一人ずつカウンセラー室に呼ばれ、注意を受けたそうです。このサイバーブリーに関わったほとんどの子たちには自分たちがブリーしている感覚はなかったため、注意された後はこのようなことが起きなくなりました。

私たちティーンは、デジタルネイティブ世代であり、同時にサイバーブリーの世代でもあります。皆さんも一度、自分のネット上での行動を検証してみていただければと思います。個人情報を載せ過ぎ、知らない間にハッキングの的となっていたり、様々なサイバーブリーの手口に引っかかっているかも知れません。また、サイバーブリーは、ティーンたちだけにはとどまらないため、ご自分の小さなお子さんのネット上での行動にも気を配る必要があります。

私たちは毎日をネット上で過ごす中で、サイバーエチケットという常識を持たなければなりません。使用者一人ひとりがマナーを持ち、他の人へのリスペクトを持てば、これからのサイバーブリーを減らすことができると信じています。

第8回 「いま、アメリカのティーンを熱狂させているポップスター・PSYとは?」はこちら
結城喜宣 「アメリカ女子高生デジタルネイティブ日記」バックナンバー

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