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再来店までの期間短縮!“宝くじ型”クーポン——「販促会議2月号」より

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集客や販促の後押しになる、本当に効果のある販促ツールとはどのようなものか。企業の販促物・チラシの制作などを手掛けるライズマーケティングオフィスの田中みのる氏に、優れた販促ツールを紹介してもらう。

ここでは、『販促会議』2013年2月号に掲載中の連載「販促NOW-ツール」の全文を転載します。


文:ライズマーケティングオフィス 代表 田中みのる氏

見た目は宝くじそっくりだが、実際にお金や賞品などが当たるわけではない。世間的に宝くじへの注目度が高まる時期を狙うことでアイキャッチ効果が高まり、高いレスポンス率を記録した。

「宝くじ」を一度も買ったことがない人は少ないのではないだろうか。年末ともなると、人気の売り場は行列ができる。当然、「絶対当たる」と思って買うものでもないので、「当たればいいなぁ」くらいの気持ちで買っている人がほとんどだろう。

しかし、宝くじを「プレゼント」されたらどうだろう?間違いなく嬉しいはずだ。実際、本物の「宝くじ」をプレゼントとして使っている販促事例も時々見る。

今回紹介するのは、見た目が宝くじにそっくりな割引クーポン。この施策を行ったのは、静岡を拠点にヘアサロンを展開するUSHIWAKAMARUグループだ。このグループ店舗の顧客の来店サイクルは、平均3~4カ月に1回。できれば再来店のサイクルを短縮したいのは、同社及び理美容業界に限ったことではないだろう。早いタイミングでの再来店を期待して使ったツールが、このクーポンだった。

年末に向け、販促ターゲットは11月後半から12月に来店した顧客に絞り込んだ。この期間中に来店した顧客に対して、年内に到着するよう、ダイレクトメールでクーポンを送付。年末年始には手渡しでの配布も行った。

何の手も打たなければ、この時期の顧客のほとんどは3月以降の再来店になると想定される。これは、前年までの実績から割り出される予測だった。そこで、送付するクーポンの「ご利用期間」を1月5日~2月28日に設定し、想定より早めの再来店を促した。

効果としては、レスポンス率40%以上の高い反応が得られ、狙い通り、顧客の早期再来店につながった。また、このクーポンの効果として売り上げが約500万円上乗せされた。さらに、年末年始の休業期間中に、年明けに使えるクーポンを顧客の手元に届けておいたことが奏功し、年末年始のQRコードによる、モバイルサイトへのアクセスが増加した。

副次的な効果としては、それまで電話予約がほとんどだったが、この施策以降、比率を上げたかったウェブ予約の件数が平均30%増加。ウェブ予約への誘導に成功した要因としては、宝くじ型クーポンにQRコードを入れたこと以外に、ウェブ予約を促す情報だけをまとめたツールを別途作成し、クーポンに同封したことが挙げられる。このツールには、当たり前であっても「24時間365日予約受付!」という文言を明記し、ウェブ予約の利便性に対する“気付き”を促した。

クーポン施策においてただ「割引」を売りにするだけでなく、タイミングや時季に適した、顧客の目を引くアイデアが重要であることを改めて感じさせる事例と言えそうだ。

田中 みのる氏(たなか・みのる)
1989年大阪中央郵便局着任、97年から法人営業、社員育成などを経て、10年に独立し、ライズマーケティングオフィスを設立。メディア接触時のターゲット・インサイトを追究し、効果の出る販促物・チラシの作成や、ウェブ・モバイルを活用したクロスメディアのプロモーションについて、全国でコンサルティング、セミナーを多く手掛ける。