海外在住のクリエイターが現地のクリエイティブをレポートする「ブレーン」の連載「WORLD WATCH」。最新号の同連載のスピンアウトコンテンツとして、誌面に載せきれなかった筆者の体験談の全貌を紹介します。
文:梶原さおり/グラフィックデザイナー
文:梶原さおり/グラフィックデザイナー
動物園が大人のエンタテインメントになる
皆さんが、最後に動物園を訪れたのはいつ頃だろうか。動物園=子どもだけが楽しむ場所というイメージから、大人になってからは行っていないという方も多いのではないだろうか。私自身もそのひとり。メルボルンに住むようになって早6年。さまざまな場所に積極的に出かけてきたが、オーストラリアで最も歴史のあるメルボルン動物園(1857年設立。世界で3番目に古い)はこれまで訪れたことがなかった。
しかし昨年の11月から始まった「I, ANIMAL」という動物園ツアーの話を聞いて、私はこの動物園のことが気になりだした。どうやらただの動物園ツアーではないらしい。世界初、夜の動物園インタラクティブオーディオガイドツアー、しかも大人限定だという。レヴューを読む限りかなり面白い体験ができると評判だったので、思いきって参加してみることにした。
メルボルン動物園は普段は17時に閉園する。が、「I, ANIMAL」のツアーはそのあとはじまる。参加者は18時半に正面エントランスに集合し、「Zöe(ゾーイ)」がインストールされたiPodtouchとヘッドフォンを渡される。このZöeこそが、参加者一人ひとりのパーソナルガイドの役割を果たす重要なツールとなる。
