鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
「ネイティブアド」はコンテンツと切り離せない
前回よく耳にするバズワードにおいて注意すべきは、用語の直接的な意味ではなく「概念」であると述べました。詳しく書きませんでしたが、実はたいていのバズワードは、いくら直接的な意味が明確でも、その言葉がもつ文脈や背景を考えれば内包する概念を想定することが出来ます。したがってその概念についての示唆を自身のマーケティングに取り入れることが大事です。
今回扱うマーケティング用語「ネイティブアド」は、直接的な翻訳では「自然な広告」と意味不明です。だからこそ概念が重要なのですが、広告という言葉が入りながらも、この概念は近年デジタルマーケティングでは当たり前のように使われている「コンテンツ」という言葉を想起せずにはいられません。
デジタルマーケティングに関するコンテンツの取り扱われ方という文脈で、このネイティブアドという言葉の意味合いを考えていきましょう。
コンテンツの意味の変化とトリプルメディア
コンテンツとは古くは著作権を有するような制作物、映画やドラマや小説のようなものを指していましたが、デジタルマーケティングでは上記のもの以外に、ネット上で流通するようになったメディアの記事やブログ、音楽、写真、動画なども指します。
つまり以前のコンテンツはメディアを通して伝達され、消費者が所有するには別途有料で新聞、雑誌、書籍、CD、ビデオなどのパッケージとして購入するというものでした。その後コンテンツが広く捉えられるようになります。
その背景には、無料でいつでも視聴できるデジタルのプラットフォームが普及したことと、ユーザー主導の形でインターネットにコンテンツを「所有する」ことができるソーシャルメディアが普及したことがあります。
これまで広告主がマスメディアに対してPRや広告を通してメディア上のマーケティングメッセージを管理していましたが、これによってコントロールができない新たなメディア空間が出来、異なるマネジメントの方法がとられることになりました。それが有名なオウンド(所有)、アーンド(獲得)、ペイド(有料)のトリプルメディアの考え方です。
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