米国のデジタルマーケティング調査会社 eMarketerが7月9日に発表した最新の調査結果によると、2014年の世界のデジタル広告費は前年比16.7%増の1400億1500万ドルにのぼり、初めて広告(媒体)費全体の25%を超える見通しだという。
同調査では、2014年の世界の総広告費は前年比5.7%増の5450億4000万ドルとなり、2012年から2013年にかけての増加率2.6%の2倍以上の成長率を記録するとも予測しており、その大きな要因の一つとして、スマートデバイスの浸透に伴うデジタル広告領域の成長を挙げている。
eMarketerは今年4月発表の調査でも、2014年のデジタル広告費が大幅に伸長すると指摘しており、その際は前年比14.8%増の1370億5300万ドルに達するとの見通しを示していたが、今回の発表ではそれを上方修正した形。
デジタル広告費は今後も引き続き伸長が予測され、2018年には2130億8900万ドルに達し、総広告費に占める割合は32.3%にのぼるとしている。
デジタル広告の今後の成長のカギはモバイル広告であるとしており、2014年は前年比84.7%増の320億7100万ドルにのぼると予測。
これはデジタル広告費全体の4分の1近くにあたる。
米国・英国といったデジタル成熟市場では、近い将来、モバイル広告費が占める割合が50%を超えるとされている。
2018年には、デジタル広告費に占めるモバイル広告の割合は、米国で67.8%、英国で70.4%にのぼる見込みで、そのほか2018年までのモバイル広告費の成長が見込まれる国としては、カナダ(デジタル広告に占める比率:52.5%)、デンマーク(同54.1%)、スウェーデン(同61.5%)、ノルウェー(同58.3%)、フィンランド(同58.0%)、韓国(同66.0%)、オーストラリア(同64.4%)、メキシコ(同51.4%)などが挙げられる。
イタリア、オランダ、フランス、ドイツ、スペインといった西欧主要国も、2018年にはデジタル広告費におけるモバイル広告費の割合が40%を超える見込み。
アジアパシフィックエリアのなかでも、韓国は2016年に、オーストラリアは2017年にデジタル広告費に占めるモバイル広告費の割合が50%を超えると予測される一方、日本は2018年時点でも34.6%にとどまる見込みとされている。
中国やインドネシア、インドのようなデジタル新興市場でも、モバイルの割合は比較的低い状態で推移すると見られている。
新興市場においてモバイル広告の成長が遅れている主な要因として、eMarketerは、当該地域には所得水準が依然として低い国があり、消費者の多くがまだフィーチャーフォンや古い型のスマートフォンを使っている現状があること、またスマートフォンが普及し始めても、その環境に合わせた広告インフラが整うまでには一定の時間がかかることなどを挙げている。
このように一部、動きが遅れる地域はあるものの、北米や西欧、アジアパシフィックの一部地域における急速なモバイルシフトにより、世界のデジタル広告費は、2018年までに50%以上がモバイル向けに移行していくと予測している。
なお、eMarketerが7月2日に発表した米国のメディア別広告費推移予測によると、米国内におけるモバイル広告費は、2014年末には広告費全体の10%にのぼり、初めて新聞(9.3%)、雑誌(8.4%)、ラジオ広告(8.6%)を超えるとされている。
またPCとモバイルを合わせたデジタル広告売上高のうち、メディア企業別ではGoogleが10.6%、Facebookが2.7%を占めており、両社の広告収入に占めるモバイル広告の割合は、前者が前年の46.7%から68.0%に、後者は36.8%から65.8%へと大幅に増加すると予測されている。
【参考】:eMarketer「Global Ad Spending Growth to Double This Year」
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