【前回のコラム】「フォーカスを絞ってブランドを変える。」はこちら
爆速で失敗して、爆速で改善する
「ダム」は事業の着手から完成まで、だいたい平均で10年と言われています。たとえば20歳で就職して60歳で退職し、その間ひとつの仕事に専念したとすると、4つのダムの開発に携わることになります。
実際はパラレルに仕事をしていくので、もっと多くのダム建設の仕事に携わる場合が多いそうですが、それにしても他のどんな職業より事業の「完成」を経験する回数が少なくなります。
もちろん、失敗すると10年がダメになってしまいますから、アグレッシブなことや挑戦的なことはしづらくなるでしょう(ダム事業の経験がないので完全にイメージで言っていますが…)。
その点、インターネットやアプリケーションは「失敗」をたくさん経験できる、恵まれた環境にあります。
「失敗は成功の母」と言いますが、やはり「まず、つくってみる」ということ。そして「失敗から学ぶこと」はとても大切になります。
ヤフーでは2007年から「Hack Day(ハックデイ)」というエンジニアの開発イベントを開催しています。これは24時間という限られた時間内でアプリケーションやサービスのプロトタイプ(試作品)をとにかく「完成させる」というイベント。
このイベントから生まれたプロトタイプが事業のタネになったり、実際の社内システムとして作成されたりしています。
リアルな世界でも、クオリティを上げるには「プロトタイピング」が何より重要になってきます。昔よりも圧倒的に流行り、廃りが早い今の時代。スクラップアンドビルドをどれだけ繰り返せるかで、その流れについていけるかどうかが決まります。
たとえば、家具の世界にもその要素は取り入れられています。あるメーカーはオーダーメードで製品を作成する際、顧客と相談をしながら発泡スチロールで家具を作成し、加工しながら最終系を決めていくといったプロセスをとっています。
誰でも「この家具、店舗で見て良さそうだから買ったけど、実際に家やオフィスに置いてみるとちょっと使いづらい」といった経験はあるかと思います。同じように、「企画段階では良さそうに見えたけれど、いざつくってみたら使いづらい」、ということは往々にしておきるもの。そこで「発泡スチロールで一回つくってみる」というスクラップアンドビルド…つまりは「失敗」を経験すれば、そういった違和感や失敗をなくすことができるのです。
ネットだったらプログラムだけなので簡単に失敗できますし、リアルの世界でも工夫をすれば、失敗やテストをする回数を増やすことができます。
ヤフーは2012年の新体制から爆速で動いています。爆速でプロトタイピングし、爆速で失敗し、爆速で改善をする。沢山のスクラップアンドビルドが繰り返され、皆様により良いサービスを提供するための挑戦が繰り広げられているのです。
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