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グラビア印刷と何が違う?小ロット印刷、製造の現場を追う

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株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、2014年11月にマーケティングの専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。記事の一部は、「アドタイ」でも紹介していきます。
第2号(2015年2月27日発売)が好評発売中です!詳しくは、本誌をご覧ください。

商品価値を高める! パッケージ戦略②

パッケージは商品の顔。特に小売り店頭で瞬間的に消費者の心をつかむには、パッケージの工夫が欠かせません。しかし商品の中身、質には日夜努力を重ねながらも、それを包むパッケージについては製造コストの一つとして捉え、有効活用できていないケースも多いようです。連載では3回にわたり、企業への信頼を高め、商品の売上を高める、価値を生み出すパッケージ戦略を解説していきます。

小ロット印刷、製造の現場を追う

現在、静岡の工場で稼働する「エスプリ」は合計4台。億単位の投資が必要な新事業でありながら、従来のグラビア印刷よりも高い単価のため、営業の現場も当初は苦戦。「最初にグラビア印刷と比べての『エスプリ』のデメリットをお伝えした上でメリットを伝えることが、真に『エスプリ』を有効に活用いただけるシチュエーションの理解につながっていった」という。

現在、静岡の工場で稼働する「エスプリ」は合計4台。億単位の投資が必要な新事業でありながら、従来のグラビア印刷よりも高い単価のため、営業の現場も当初は苦戦。「最初にグラビア印刷と比べての『エスプリ』のデメリットをお伝えした上でメリットを伝えることが、真に『エスプリ』を有効に活用いただけるシチュエーションの理解につながっていった」という。

消費者の嗜好性が多様化し、細かいターゲットや使用シチュエーションに合わせた商品展開が必要とされる時代。

一方で、緻密なターゲット戦略に基づく商品企画は多くの企業の負担になっている。「極力、コストをかけずに少量多品種の商品展開の可能性を試したい」あるいは、ヒット商品が生まれづらい時代だけに「もっと手軽に新商品のテストマーケティングを行いたい」。そんなニーズを抱える企業は多いだろう。

1932年に創業し、茶袋の製造販売から事業をスタートさせたパッケージ資材の印刷・製造を手掛ける吉村では、そんなニーズに着目し2008年からオンデマンドデジタルパッケージ印刷の事業をスタートさせた。

同社では、ヒューレット・パッカード社の版不要のデジタル印刷機「インディゴ」を導入。それまで軟包装の成功事例がなかった「インディゴ」を使って、初めてのフィルム印刷の商業化に成功。

同社では、このデジタル印刷機を「エスプリ」と名付け、従来のグラビア印刷に加え、新たな事業を立ち上げた。

「グラビア印刷の場合、当社の最小ロットは2000メートルですが、『エスプリ』なら1アイテム500メートルから対応可能。しかも、同じサイズ・仕様のパッケージであれば、デザイン違いを複数パターン同時に作ることで総費用が大幅に削減されます。

グラビア印刷では必須の、一色につき一版発生する製版費用がかからず、版の経年変化による腐食の心配もありません。どこの印刷会社でも一定期間が過ぎると、お預かりしていた版を処分してしまいますが、版落ちも気にする必要がありません」(静岡総合工場 品質部部長 植田勝利氏)。

製版代がかからない。小ロット多品種で、新商品のテストマーケティングに在庫リスクを持たずに挑戦することができる。

今回は、そんなパッケージを重要なマーケティングツールにしていこうと考える、静岡県・焼津市にある吉村の静岡総合工場を訪問。紹介する一連の写真は、同工場内で撮影したもの。写真を中心に、オンデマンドデジタルパッケージ印刷の特徴を解説する。

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