【前回記事】「サイボウズ、オウンドメディア運営をきっかけに新ニーズを発見——「デジタルマーケティング年鑑2015」事例解説⑤」はこちら
ネクストが運営する不動産・住宅情報サイト「HOME’S」は2014年、レスポンスの獲得を目的とした動画広告を行った。動画上にアノテーション(テキストリンク)を貼ることで、サイトへの誘引を図る試みである。
そもそも同社が動画広告を行った理由の一つに、集客単価の高騰がある。ネット広告を導入する企業が増え、サイト誘引のためのコストが年々高くなっていた。また一方で、技術の発展で新しいデータが取れるようになったこともある。ラストクリックやサイト滞在時間に加え、長期のサイト再訪問率の比較、動画の視聴者の離脱するタイミングなども分かるようになった。
そこで、同社はさまざまなタイプの動画を配信する実験を行った。YouTubeの動画広告「TrueView」にアノテーションを設定した動画を出稿。その後、改良した動画や、YouTuberとして有名な猫を起用したものなどを配信し、分析を重ねた。
その結果、クリエイティブによりユーザーの属性が大きく変わり、CTR(クリック率)も変動することが分かった。コンバージョンを狙った動画では広告での視聴が多かったが、YouTuberを起用したものは純粋な動画再生が広告経由の数を上回り、再生回数が落ちにくくなる効果が明らかになった。また、最後まで視聴した人のCTRが高いことも分かった。
動画を使うことで集客単価は必ずしも下がらなかったが、ユーザーのサイト滞在時間が長くなり、エンゲージメントが高くなるなどの成果も確認できた。同社は今後、今回の経験を生かし、さらなる動画広告の可能性を探っていく考えだ。
広告接触の起点から90日間の累計CV(成約数)を100%とした場合の進捗
アノテーション追加による維持率・離脱率の変化
取材協力
安藤 智彦 氏(左)
HOME’S事業本部 マーケティング部 デジタルマーケティングユニット ユニット長
橋本 勝洋 氏(右)
同事業部・同ユニット
こちらの記事は、3月10日に発刊された「デジタルマーケティング年鑑2015」(宣伝会議・刊)より一部抜粋しました。事例をご覧になりたい方に向けた書籍です。
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