買う5秒前、シンプルで美しいアイデアが背中を押す

【前回コラム】「パンケーキより、パンケーキが好きなワタシが好き」はこちら

突然だが、ドイツのインダストリアルデザイナー、ディーター・ラムスの「グッド・デザインの10カ条」をご存知です?

それは——

1 グッド・デザインは革新的である
2 グッド・デザインは実用的である
3 グッド・デザインは美しい
4 グッド・デザインは分かりやすい
5 グッド・デザインはでしゃばらない
6 グッド・デザインは誠実である
7 グッド・デザインは恒久的である
8 グッド・デザインはディテールも完璧
9 グッド・デザインは環境に配慮する
10 グッド・デザインは可能な限りデザインをしない

ディーター・ラムスとは、電気シェーバーで有名な「ブラウン」で1960年代から90年代にかけて魅力的なデザインの製品を数多く生みだした伝説の人物である。その作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されるなど、工業デザインの世界では昔から有名な人なのだ。

でも、なんといってもその名を一躍世に知らしめたのは、彼にインスパイアされたというアップルのデザイナー、ジョナサン・アイブがiMacをはじめ、iPodやiPhoneを発表してからである。アップルのそれらの製品が売れた要因の一つに、シンプルで美しいデザインが寄与したことは言うまでもないが、そのデザインの元ネタこそ、かつてラムスが手掛けた数々のブラウンの製品だったのは知る人ぞ知る話。

後にラムスはこう語っている。

「アップル社のデザインは私のデザインのコピーなどではなく、私の過去の仕事に敬意を表してくれていると思っている」

そう、優れた仕事は、それにインスパイアされた後輩たちによって現代風にアレンジされ、未来へ語り継がれる。そしてシンプルで美しいデザインは、いつの時代も“買う5秒前”に人々の背中を押す。

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草場滋(「指南役」代表)
草場滋(「指南役」代表)

メディアプランナー。エンターテインメント企画集団「指南役」代表。テレビ番組『逃走中』(フジテレビ)の企画原案、映画『バブルへGO!!』(監督・馬場康夫)の原作協力、雑誌連載「テレビ証券」(日経エンタテインメント!)の監修など、メディアを横断してプランニング活動を行う。著書に『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)、『タイムウォーカー』(ダイヤモンド社)、『「考え方」の考え方』(大和書房)、『情報は集めるな!』(マガジンハウス)、『幻の1940年計画』(アスペクト)、『テレビは余命7年』(大和書房)ほか。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。

草場滋(「指南役」代表)

メディアプランナー。エンターテインメント企画集団「指南役」代表。テレビ番組『逃走中』(フジテレビ)の企画原案、映画『バブルへGO!!』(監督・馬場康夫)の原作協力、雑誌連載「テレビ証券」(日経エンタテインメント!)の監修など、メディアを横断してプランニング活動を行う。著書に『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)、『タイムウォーカー』(ダイヤモンド社)、『「考え方」の考え方』(大和書房)、『情報は集めるな!』(マガジンハウス)、『幻の1940年計画』(アスペクト)、『テレビは余命7年』(大和書房)ほか。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。

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