【前回コラム】「人生で重要なことはハガキを書きながら学んだ(ゲスト:嶋浩一郎さん)【前編】」はこちら
自宅に2万冊の本があるという嶋さんの、プリンテッドマター(印刷物)に対する愛情の深さに感じ入った放映回。嶋さんが経営する書店B&Bと「すぐおわ」がコラボする日も近い?

左から、権八成裕(すぐおわパーソナリティ)、澤本嘉光(すぐおわパーソナリティ)、嶋浩一郎(博報堂ケトル)、中村洋基(すぐおわレギュラーゲスト)。
※本記事は6月5日放映分の内容を収録したものです。実際の放映内容とは一部異なります。
書店員が文句を言わなければ本屋大賞はなかった
中村:
前回に引き続き、ゲストは博報堂ケトルの嶋浩一郎さんです。
権八:
嶋さんと言えば「本屋大賞」を立ち上げた人でもありますよね。
嶋:
本屋大賞は自分がつくったわけではないんですよ。僕は椎名誠さんが立ち上げた『本の雑誌』という書評誌のWebサイトを編集していて。その中に書店員の方が登場するコーナーがあるんですが、そこで皆が「なんで直木賞、これを選ぶんだよ」、「俺だったらこれを選ぶのに」といつも文句を言っていたんです(笑)。
澤本:
本屋さんが文句を?
嶋:
直木賞や芥川賞は作家が作家を選びますよね。でも本屋さんが「俺だったらこれを選ぶ」と思っているならば、「本屋さんが選ぶ賞」があってもいいかもねと。それで全国の本屋さんに聞いてみようという話になったわけです。でも、投票箱を全国の本屋に置くわけにいかないじゃないですか。お金もかかるし。
だから『本の雑誌』のホームページに投票箱を置こう、みたいなことで本屋大賞は始まったんですよ。実際にやってみたら、さすがに本屋さんは本を読んでいるなと思いましたね。1回目は小川洋子さんの『博士の愛した数式』が選ばれました。今はもう大スター作家ですが、当時は「新しい才能が発掘されたよね」という感じで受け止められたと思います。