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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァンの買い物コミュニケーション論~買い物の本質とはなんだ??

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【前回コラム】「ヴィレヴァンの「棚作り」~ストーリーを売る、気分を売る」はこちら

ヴィレッジヴァンガードの関戸です。今回は買い物の本質について少し考えてみたいと思います。買い物ってなんだ??モノを買うこと?販売の視点から見たら、モノを売ること?消費財を扱う立場にあるのであれば、少し立ち止まって、たまには買い物とはなんぞやと改めて捉えなおしてみる機会を持つと、忘れていたことに気づくことがあるかもしれません。我々もモノを扱う小売店であるが故に目先のことばかりを考えてしまいがちですが、本質を忘れないように意識して行かなくてはなりません。そんな自責の念も踏まえて今日はそのお話を少々。

ヴィレヴァン、なんと寿司を売る

寿司。それは日本人が大好きな食べ物。意外となじみのある食べ物だ。だが、この寿司が雑貨になるとなぜだか面白いモノに感じるから不思議だ。しかも、雑貨業界において寿司グッズは、やたらとバラエティ豊富で、寿司の靴下、寿司のリュック、寿司のキャリーカート、寿司のミニカーに、寿司のTシャツ、寿司のクッションなんでも揃う。寿司、寿司、寿司のオンパレードである。これだけあるなら回転すしのベルトコンベアでも導入して寿司グッズを回転させてやろうかなとも思ったが、思いのほか高くて断念した。そんな中でも、丸い寿司桶に、12個寿司が並んでいる「寿司の掛け時計」なんかは、「ただいまの時刻、トロ時イカ分」とPOPを書いてやたら売った思い出がある。みんな使っているのかな。

さらに寿司だけでなく、魚関連の雑貨も、同様になぜかだいたいよく売れる。アジの干物ペンケース、実物大の焼サンマのストラップ、リアルなサメの水鉄砲、あらまき鮭の枕なんかは超バカ売れである。横に、さりげなく、サザエさんのマンガを置いたり、魚へんの本なんかを置いたりして、生臭さに深みを出すことによって、さらに売上はアップする。まさに、いらないものばかりで、「なんで買ったんだろう」とあとで自問すること必至のアイテムばかりなのだが、ヴィレヴァンでは、これがまたよく売れるのだ。

ヴィレヴァン、猛毒の生物ばかりを売る

ほかに私がよく作っていたコーナーが、毒を持っていそうなモノばかりを集めるという非常に趣味のわるいコーナーだ。だいたい、棚と棚の間に屋根もつけてトンネルにし、ジャングルのような空間で毒ヘビ、毒グモ、毒キノコ、天井からも毒ガエルやカラフルなオウムをぶらさげて、床にはゴムヘビをまき散らし、気を付けないと、床においてあるウミガメやワニにつまずきそうになるそんな売場だ。そこにこっそりと、毒の生物図鑑や、毒舌大辞典なんかも置いていた。これがなかなか好評で、「絶対にいらねえだろそれ」と思われるワニの親子の置物や毒ガエルの人形なんかがコンスタントに売れて行った。ついでに、毒でも何でもないが、「人が近づくと走りだすダチョウ」という商品なんかも売ったことがある。結構大きくて、人が近づくと、音楽がなって足をバタバタする、ただそれだけ。カタログを見て、意味がわからなすぎて、思わず仕入れてしまったのだが、非凡なセンスを持ったお客様に買っていただけたときは、本当にありがたい気持ちになったのはいい思い出である。

次ページ 「ヴィレヴァンだけで売れるものの共通点」へ続く