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コラム

「ヴィレッジヴァンガードに学ぶお店づくり~こんなんだってあり~」

ヴィレヴァンの「棚作り」~ストーリーを売る、気分を売る

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【前回コラム】「ヴィレヴァンに行くと、なんとなく落ち着くのは、自分だけだろうか?」はこちら

こんにちは、ヴィレッジヴァンガードの関戸です。

今回は、本・CDの品揃えについてうんぬん。私が店長をやってきた店は、だいたい書籍とCDの売上構成比が、他のヴィレヴァン店舗の約1.5倍~2倍を推移していた。様々な雑貨を仕入れてはいたが、ベースを必ず書籍において展開していたのがその理由だ。

当時、社内での私のイメージはおそらく、あまり見たこともないような書籍やCDを、これでもかとpopと編集で攻めまくってヒットを作り出す謎の人。そんなイメージだったんじゃないかと思う。

社内においても特異な売場構成というか、本に対するこだわりを強く持っていた。他のヴィレヴァンとも少し違う、本とCDで売上を作る店は何を考えて作ってきたのか、今日はそんなお話。

本は全部読んでいるのですか?はい、読んでません

そんな自分に対して、社内外からよく質問されてきたのが、
「POPだらけですが、本は全部読んでいるのですか」「1か月にどれだけ本を読んでいるのですか」。

これはもう、聞きあきるほどに言われ続けてきたコトバだ。

そんなときはいつも、「はい、本は、読んでません」と答えてきた。

全部の本を読破するのは、やはり物理的に不可能で、代わりに、どんな内容の本が流通しているかを把握していた。

本を読むのと、本を売るのは、別の話だ。わたしは、「本を売る」ことに興味があった。本を売りたいという志と、本の情報と、ちょっとした工夫で、人をワクワクさせることが必ずできるはずだと信じてやってきた。

本棚にグルーヴを作り出すDJスタイル

ちなみに、私が作る店の棚割は、一般書店とは、だいぶ違う。
文芸、旅行、ビジネスのような一般的なカテゴライズは一切しなかった。

こういう本を買いたいと決まっている人は、アマゾンさんや大手書店さんに探しに行くはずで、
ヴィレヴァンには、そういう人は来ない。

「そういえば、本なんて最近読んでねえなあ」みたいな方が、ふらふらしていることが多いはずだ。

そう考えると、検索のしやすさを求めても、お客様のニーズとマッチしない。
本棚を作るときは、ターゲットを具体的にプロファイリングして、テーマもなるべく俗人的なものに設定していた。

「なんか、アメリカのあの感じって好きなんだよねえ、行ったことないけどさぁ」の棚
「レールに敷かれた人生なんてまっぴらゴメンだぜって思いながら、絶賛就職活動中」の棚、みたいな。

棚のテーマ名長いですねえとか言われそうだが、「旅行」とか設定されるよりかは、売る側も買う側も、ずっとイメージが湧きやすいんじゃないかと思う。

こんな棚のテーマを作ると、品揃えは、必然的に、ジャンルを飛び越える。
小説だろうが、ビジネス書だろうが、コミックだろうが、雑誌だろうが、もう、なんでもありだ。

さらに、その棚の中でも、上段の端のタイトルから、すべて関連性を持たせ、ストーリー展開させていくことで、独創的な品揃えが実現する。

まるでDJが曲を選んでつなげていくようなイメージで、本を陳列することで、見たことも聞いたこともない本であっても、お客様のココロは踊り続け、意外な出会いをそこに演出することができるわけだ。

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一緒に働いていたメンバーの棚①

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一緒に働いていたメンバーの棚②

次ページ 「暑かったので、本を冷蔵庫でキンキンに冷やしてみた」へ続く